第8話
年齢が八歳で見た目が心底弱そうな僕……荒くれ者の多い冒険者に舐められないようミステリアスな雰囲気を出そうとしたのだが……。
「良いわぁ……この子。可愛い。こんな可愛い男の子初めてみた」
なんか事態は僕が想像していなかった変な方向へと進んでいっていた。
「……あの、僕はいつまでこんな状態なんです?」
僕は可愛いを連呼する女冒険者たちに回され、宙を舞っている。
気分としてはバーゲンセールで売られている人気の商品。
「いい加減逃げさせてもらいますね?」
ずっとその状態で開放される気配を感じ取れなかった僕は魔法を使って移動。
僕が雑に回されていたのを遠巻きで見ていた男の冒険者たちのところへと移動する。
「うぉッ!?」
「……僕はおもちゃではなく一人の人間です。それ相応の扱いをお願いしたいのですが」
僕は不満を口にしながら次々と魔法を発動させ、女冒険者がこっちの方に来れないよう結界を張っていく。
「おい、待て。俺らを巻き込むな」
「先輩。自分舐められないように、と考えていたんです。こんな成りですから……絡まれることは予想出来ていましたし……だからこそ、舐められないようにこんな成りでも最大限出来る行動。ミステリアスな不気味さを演出しようとしたんです……ですが、こんな絡まれ方は予想外です」
女性にもみくちゃにされ、自分の視界を覆うのは至福の肌色が一杯。
おっぱいは柔らかい。
その肌が筋肉質でも推せる……ちょっと汗臭くても推せる……ムダ毛の処理がされていなくても推せる。
僕はストライクゾーンが広いのだ。
それでも……それでもッ!いくらどんなに推せようとも、ご褒美的な状況であったとしてもッ!
自分が商品のように宙を舞ってもみくちゃにされるのは普通に辛い。
精神的にではなく肉体的に。
「端的に言いましょう。助けてください」
「ざっけんな!?俺らだってあいつらともめたくねぇぞ!」
「下手な不良や犯罪者どもより柄悪い奴までいるんだぞ……?女冒険者は肝の座り方が尋常じゃ無さすぎて怖いんだよ」
「まったくだ……あんま関わりたくない」
「そんな!?こんな可愛いショタがお願いしているのに無下にするというのですか!?」
男の冒険者たちの心ない言葉に僕は絶叫する。
「おめーも案外図太いな」
「自分で言うのか?それ……もうミステリアスな雰囲気はないな」
「それはもう諦めました……あんな絡まれ方した後の祭りですし、どんな絡まれ方でもアレよりひどいことにはなりそうないです」
「……まぁ、そうだなぁ」
防音魔法に結界魔法。
完全に女性冒険者を隔離した僕……そして僕の周りにいる男の冒険者たちは結界を壊そうと躍起になって攻撃する
「……あれ、防ぐの素直に凄いな。どんだけ硬い結界なんだ」
「僕はこれでも結構凄腕の魔法使いであると自負しています」
「この餓鬼、マジで貴族の餓鬼なんじゃ……?」
「それは黙秘です。後僕の名前は餓鬼ではなくノームです。以後お見知りおきを……ということで僕は帰ります」
「はっ!?」
「それでは」
僕は一礼し、冒険者から逃げ出すような形で出た。
あっ、ちゃんと結界は解除しないとね。
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