第6話
冒険者ギルド。
社会から爪はじきにされた荒くれ者や身寄りのない人間を人類に仇なす獣である魔物の駆除に当て、要らない人間を活用する。
そんな理論の元で結成されたその組織は数多の英雄の誕生によっていつしか庶民の憧れを集め、王侯貴族でさえも無視できないほどの世界中に拠点を持つ大組織へと成長していた。
「まぁ……荒くれ者のたまり場ってところは昔から変わっていないんだけどねぇ」
ラレンシア王国南部にあるそこそこの大きさを持つ都市、メルボラン。
僕はメルボランに威を構える冒険者ギルドへとやってきていた。
「お邪魔しまーす」
僕の背丈ではまるで手の届かない位置に設置された取っ手がついた扉を魔法を使って器用に開け、中へと入る。
中には依頼終わりの冒険者たちがギルド内に併設されている酒場で飲んで食べてのどんちゃん騒ぎをしている。
ちゃんと治安が悪い。
絡まれないように魔法で気配を隠しながら奥にある受付のカウンターにまで向かう。
「少し良いかな?お姉さん」
魔法を使って背丈を上乗せし、カウンターへと腕を乗っける僕は受付嬢さんへと声をかける。
「……ッ!?な、何の用かな?僕。依頼のお願いかな?」
「いや、冒険者になりたいと思って。冒険者になるための最低年齢は八歳。今の僕は八歳だからギリギリなれると思うんだよね」
「ほ、本当に八歳でしょうか……?」
「間違いなく八歳だよ……同い年の子と比べたら小さく見えるかもだけど。冒険者になるのに試験は必要ないはず。早く僕の申し出を受理してくれると嬉しいのだけど?」
「た、確かにそうですが……」
「問題ない。その一言で十分だと僕は思うんだけど?」
「……そ、それもそうですね。あくまで年齢も自己申告による確認で構わないとなっていますし……はい。わかりました。君の申し出を受理します。それではこちらの書面を」
受付嬢さんが僕の方に一枚の書類を差し出してくる。
「代筆も出来ますが如何なさいますか?」
「ううん。大丈夫。僕はこの国の言葉も書けるからね」
僕は受付嬢さんからペンを受け取り……この国に来る予定があったのであらかじめこの国の言語は学んである。
代筆などなくとも問題なく書くことが出来る……ちなみに僕は四か国語喋ることが出来る。
実は一番大変だったのは文字の勉強だったのかも。
「はい。これでお願いします」
名前、年齢、性別、戦闘方法などを書類の指示通りに自身の個人情報を記し、受付嬢さんへと渡した……名前とか偽名だし、他にもちょいちょい嘘交えたけど別に良いよね!
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