第2話ー4 誓いのキス あなたと共にしあわせになることを誓います

結婚式場にて


白のバージンロードを挟んで置いてある、ダークブラウンの椅子は厳かな雰囲気を醸し出している

正面にはひと際大きな十字架が存在している。


そして、式は始まる。


目の前の牧師が聖書に書かれている結婚の教えを読みはじめ、神様に祈りを捧げる。

そして牧師の問いかけに答えるようにして、新郎、新婦は結婚を誓約する。


新郎 真人、あなたは典子を妻とし、健やかなるときも 喜びのときも 悲しみのときも 病めるときも 貧しい時も 妻を愛し 敬い 慰めあい 共に助け合い その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

「はい」(これからは、俺と前を向いていくと言ってくれたその言葉を信じるよ)


新婦 典子、あなたは真人を夫とし、健やかなるときも 喜びのときも 悲しみのときも 病めるときも 貧しい時も 夫を愛し 敬い 慰めあい 共に助け合い その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?


(私は青野家を憎しみ、皆が不幸になっていく様を命ある限り見届ける。そう、2年半前から私はそれだけを考えて生きてきたはずなのに…でも、気がついたの。私は羅蔵と義姉さんだけ苦しめればいいことに。あなたと幸せにいつづけることで、義姉は嫉妬でいっぱいになる。そう、義姉はあなたしか愛していないのだから。そしてそんな姉を追いかけているおバカな羅蔵。それを一生かけて見届けてやるわ)


「…はい」満面の笑みで答える。


そして、誓いの証として指輪の交換が行われる。

真人はぎこちなく私の手をとり指輪をはめる。

私も緊張気味に彼の手に指輪をはめる。


『誓いのキス』


真人は私の顔を覆っているベールを上げて、愛おしそうに見つめる。そして私たちはうやうやしくキスをする。

皆の喝さいは、ひと際会場に響いていた。














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