第2話ー3 誓いのキス 真相は

「で、俺と結婚してまで義兄さんの近くにいたいってこと?まだ、忘れられないの?それとも、君と別れて一緒になった姉さんに復讐したいの?」低めのトーンで、次々と問いかける。


「ま、まって。これが質問の答えになるかわからないけど。初めて、青野家で羅蔵と華さんに会った時が衝撃的だったわ」そう、あの光景はほとんど今でもかわらない。


「……」


「羅蔵は私を見ても、ほとんど表情がかわらなかった。それよりも、その瞳はすぐに私から華さんへと移りそこからは一時も離れなかった。5年間つきあっていた女が来たのよ。普通、なんかしらの動揺とかするじゃない⁈ 私たちの記憶がまるでなかったように。それは不自然であり自然だった。それから、何回かあっても」


「で⁉ 君の気持はどうなんだ。彼に対して」


「なんだか、くやしかったし悲しかった。だって、そうでしょう? いまさら何しにこんなところまできたんだって悪態をつかれたほうがまだ。どんなにかよかったか…」


「義兄さんとは直接話はしたの?」


「何度も連絡を取ってやっと、彼の口からはすまない彼女と生きていきたいと言う言葉がきけたわ。やっと二人きりになれた時に、これが何年も彼を追い続けてきた彼の本音だって」彼女の顔からは、いつもの明るい表情が微塵も残っていなかった。


「彼は、あなたの姉と出会った瞬間に恋に落ちた…つまり結婚詐欺師というプロが負けた相手、敵うわけがないわ」


「姉さんはいつでもおだやかでどんな人とも楽しそうに話すし、彼女が人を悪く言ったり蹴落とすのを見たことがないんだ。もし、君が姉のことを恨んでいるとしたら見当違いだ」

(そうね。でも、違うわ。時おり見せる憎悪の表情は、一瞬だけだったし気のせいかと思ってた)


「そうね。そのとおりだわ。私に、羅蔵を引き留める魅力がなかっただけ」


「違う、そんなことはいってない。無責任かもしれないけど、過去はわすれて俺との未来だけを信じて一緒になってくれないか。神様の前で偽りをいってほしくないんだ」


「…そうね。私、あなたと会って気がついたの。私が変わっていったのはあなたのおかげ。だからこれからは前を向いて行こうって」そう、それが私の復讐にもなるってきがついたから。










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