第2話ー2 誓いのキス 3年後

教会の扉を開けると大小洋々なステンドグラスの壁が目につく。囲まれたおしゃれな絵柄はとても美しく明るくて鮮やかだ。




挙式の2時間前


二人で教会に向かう車の中で、ハンドルを握りながら真人は話しはじめた。

「ぼくは、典子と今日のこの日を迎えることができて幸せだ。僕たちは夫婦になるんだからね。だから、僕は僕の思っていることを全部君に知っていてほしいんだ。そして、君も僕に隠し事なんかせずに正直に話してほしい」


「な、何。唐突に」典子は、少し焦っていた。


「君ははじめて会った時から今までにも、ときおり悲しそうな寂しそうな表情をする時があって僕はそれがとても気になっていたんだ。そして、その原因が義兄にあるということをつきつめた。」


「…」


「羅蔵(義兄)は結婚詐欺師だったんだ。それを知った時おれは、姉さんも騙されているのではと思い姉さんに打ち明けた。だが、姉さんはそのことを知っていたんだ。知りながらもいつも傍にいてくれるあいつに気を許していた。せめないでほしいと」誠也は、前方に注意しながらも言葉を続ける。


「家族が不幸な目にあうのを、みすみすだまってみてられないだろう⁈ 義兄さんには、何も言っていないが監視は怠らなかった。今の所、金の無心とかいうのもなさそうだし…見た目にもこの2年余り姉さんと仲睦まじく暮らしている」


「本当に、二人がいがみ合ったりしているのを見たことがないわね」


「ああ。両親が亡くなって二人で仲良くくらしてきた。だから、姉さんを不幸にするやつは許せないが羅蔵を…今の所は追い出せない」姉思いの誠也である。


「君の義兄に対する態度。君は、やつの被害者なのか? 僕と付き合ったのは偶然なの?」ハンドルを大きく切り、キッキーと大きく音をたて車は路肩に停まる。


「……」典子は下を向きながら、少しの間無言だった。


「…私ね、5年間彼(義兄)とつきあっていたの。それが突然3年前から連絡がとれなくなって。…職場の先輩に言われて、はじめて気が付いたの。何か変だって。それからは、その先輩のつてで腕のいい探偵さんに調べてもらった。その時に初めて本名が羅蔵だってことや、連絡がとれなくなったあたりから他の女性と籍をいれたってことがわかった。それを聞いた時、何もかも信じられなかった」誠也は、無言で私の話を聴いていた。


「そしてその結婚相手が、俺の姉さんだった」


「うん」小さくうなづく。


「その話を聞いてもやっぱり彼にあって直接、真相を知りたかった。あなたたちの家の周りをウロウロしてた時に、あなたと知り合って」


「俺とつきあったら、家に自由に来れるって?」


「きっかけはそうだった…」誠也の顔は、明らかに落胆していた。















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