第2話ー1 誓いのキス  彼氏と連絡がとれない

「先輩、私 最近つきあっている彼から連絡がないんです」亜麻 典子は職場のロッカー兼休憩室で職場の気の合う先輩余地 玲子とランチを食べながら思いつめたようにつぶやく。

その言葉を聞いて、玲子は言葉を選ぶように私の目をジッと見て言う。


「典ちゃんとこって、つきあって5年目じゃなかった?そろそろ、巷で言う倦怠期じゃない?」


「そんなこと感じさせないほど、とても彼はやさしかった。それに職場では急に人が辞めて、その埋め合わせでとても忙しいらしいの」


「それって、よく使う口実よね。忙しいからってメールぐらいかけられるよね。だから、心配になってきたんでしょ?」はっきりした性格の玲子は問い詰めるように言う。


「確かに、付き合ってから最初の3年ぐらいは毎日連絡があったけど」


「どれくらい、連絡ないの?」


「2ケ月」


「それは…。直接部屋にいってみるとか、会社に連絡するとか自分から仕掛けた方がいいと思うよ」


「先輩、私どっちも知らないの」


「えっ、うそでしょ⁈信じられない」おっとりした典子だが、仕事もそれなりにこなすかわいい後輩である。でも、これはもしかするともしかする。


「ちょっといいにくいんだけど。その彼氏にお金貸してないよね」


「実は…異母兄弟がお金に困っていて、いままでに200万ぐらいは」


「それって、悪いけど早い話が詐欺じゃない⁉」気心がしれているのもあってか、ずばりと先輩の言葉は容赦ない。


「詐欺って⁉ 違います。私、その人にもあったことがあるし…」先輩の言葉に動揺しながらも言葉を絞り出す。


「じゃあ。その人の連絡先や住所は?」


「喫茶店で待ち合わせたので、考えたらよく知らない…。えっ。う、そ。私もしかし

てだまされたの⁉」ようやく、ことの重大さがわかってきたようである。


「と、とにかく少し冷静になって考えよう」玲子は、典子の泣きそうになった顔を改めてみまわすと解決策をひねりだそうとしていた。

















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