第13話 お偉いさん
1週間。それがゴブリンエンペラーが引き起こした事件から俺が、日本政府から逃げ続けることができた時間だ。
なぜ見つかったかというと簡単だ。アメリカのダンジョンで使用するカメラ会社が裏切った。というか日本政府とアメリカ政府との圧力に屈した。
そうして、カメラから送られてくる膨大な情報を元に俺の居場所が突き止められた。
なお、ギルドマスターと受付嬢に見張りとしてつけておいた【ドッペルゲンガー】は捕縛された。撮影するだけの性能だったので大した抵抗もできなかった。
そして、俺はというと内閣何とか長のお偉いさんに、日本の未来を背負って探索者に登録してくれと脅されている。
当然俺は断ったのだが、相手も引く気がない。延々と説教じみたことを話されているだけでむしゃくしゃするだけだった。
この間、俺は一言しか話していない。
「なら、なぜこうも日本の未来を背負う人間が少ないのか。それが探索者という職業が未来を背負うに値しないからでしょう」
これが、正論だったのだろう。相手は顔を真っ赤にして延々とこちらに話しかけてくる。
何度【ドッペルゲンガー】とすり替わって逃げようかと思ったことか。
ここまで何の進展も得られなかったことで内閣何とか長は下げられ、次は総理大臣が話しかけてくる。
言ってることは先ほどと同じだ。
いい加減にしてほしいところではある。しかし、俺の能力を知っているギルドマスターと受付嬢があちらについている以上、逃げられないだろうなぁと思っていた。
さんざん言いたいことだけを言われ続けるのも癪だったのでこちらから言い返してみた。
「そこまでいうなら、俺は日本に居住権なんて必要ないですよ」
この一言で、今まで一方的に話しかけていたお偉いさん方はいっきに静まり返り、顔色が悪くなった。
「少し、話し合いをさせてくれ」
というとお偉いさん方は、集まってひそひそ声で会議を始めた。
俺は、やっぱり持つべきものはチートだよなぁとひしひしと感じていた。
このタイミングでおでましになったのは天〇様。俺のことを見るなり
「今回の事件のご助力ありがとうございます」
と言って頭を下げてきた。これには俺もびっくり。お偉いさん方は頭なんて下げなかったのにこの人はできた人間だと思わずにはいられなかった。
「いいえ。だたゴブリンが家の周辺をうろついていたのがうっとうしかっただけですのでお礼を言われるようなことでは・・・」
「それでも救われる命があったはずです。無力な私たちと違い、あなたにはその力がある。その力を日本のために使っていただけないでしょうか?」
俺は、やっぱり協力を求められるのかと思ったのでギルドマスターと受付嬢をみて、
「今協力している内容では不満ですか?」
ぶっちゃけることにした。
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