第6話 ギルドマスターのお仕事
ギルドマスターが変わって俺に被害があったとすれば1度、顔を合わせた程度だ。
その日は俺のスポンサーとなってくれているアメリカにあるダンジョンで使用するカメラについて使用感とテスト映像を渡すという珍しく予定のある日だった。
そんな日に、奴は現れて
「君は探索者でもないのに魔石を集めている、いわば違反者だ。すぐに探索者登録をするように。しないのであれば、今後一切魔石の買取は行わない」
俺は飛行機の時間に間に合わせる必要があったため適当に
「お好きにどうぞ。今からアメリカに向かうので失礼します」
というと、奴は怒鳴っていた。
アメリカから帰ってくると、空港に探索者ギルドのギルドマスターが待ち構えていた。
「春樹君、話がしたいから近くの喫茶店にでも入らないかね?」
喫茶店だと万が一情報が洩れる心配があると危惧した俺はラウンジを一室貸し切りそこで話をすることにした。
ギルドマスターはあきれていたが、普段喫茶店などに入らない俺にとっては普通のことであったのだ。
「それで、話とは何でしょうか?」
「実は1週間前ほどにギルドマスターを解任されてな。その後任が君に不愉快な言動をしたのではないかと思って確認と報告が送れたことの謝罪に来たのだ」
「そんなことがあったんですか。それで今は何の職についているのですか?」
「後任がやらかしたせいでギルドマスターに逆戻りだ。笑えない話だよ。それでその後任が君に何か言ってないかが気になってだな。何かなかっただろうか?」
「そういえば、探索者登録しないのであれば、魔石の買取を一切行わない。とか言っている人が来ましたね。飛行機の時間があったので適当にあしらいましたが」
ギルドマスターの顔は真っ青になった。それを見て俺は話を続ける。
「そちらが問題ないのであれば今まで通りに魔石を販売しますよ」
「助かる。いや、助かります。それで他に何か問題はなかったですか?」
「はは。いつも通りの話し方で結構ですよ。そうですね。すこし難易度の高いダンジョンを買い取りたいのですが攻撃力が高い魔物が出現するダンジョンがいいですね」
「またダンジョンを買い取ってどうする気だい?」
「実はカメラの耐久テストに付き合ってほしいと依頼を受けまして、まあ僕の方も限界が近くはありますがあと一つくらいであればダンジョンを治める力は残っているので協力しようかと」
「わかった。今回のお詫びに無償でそのダンジョンを引き渡します」
「別にお金には困ってないので支払いますよ」
「いや。これはけじめだ。だから遠慮せずに貰ってほしい」
貰えるものはもらっておくに限るので遠慮しないことにした。
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