第3話 2つ目の所有ダンジョン

結局、俺は情報を渡さない代わりにスライムダンジョンを買い取ることになった。


しかし、ダンジョンを氾濫させないことは絶対だとしても俺の子供にまでその責任が付きまとうのは厄介だ。まあ、人間不信の俺に子供ができるのかという心配もあるのだが。


そんなことは置いておくとして、2つ目のスライムダンジョンを見に行ってみることにした。


前話で受付嬢が調べていた魔力量を測定する機械で調べてみると、値は80。確かに今から準備をするには心もとない数値であった。


ちなみに値が100になると魔物の氾濫が起きるとされている。まあスライムが氾濫したところでと思うかもしれないが、人的被害よりも建物などの建築物の被害が予想される。後はご想像にお任せするとして、先に体力3、筋力2の分身を20体作成して、スライムを討伐して魔石を持ち帰る命令を下し、送り出した。


後は、俊敏5、知能3の分身を作り出して地図を作製してくるように命令した。


これで氾濫は抑止できるだろう。と思う。


それから1週間で地図と湧きポイントをある程度把握したので、本格的に魔石収集の陣営を構築することにした。


ちなみにいつの時代でも、こういった施設(ダンジョン)に勝手に入り込もうとする輩はいるものでそのたびに計画の修正を余儀なくされたりする。こういったことが起こった際にはカメラの映像を警察や探索者ギルドに提出して穏便にことを済ませるのだ。なお、罰金や禁固刑になる。


そして、3か月後には拠点となる一軒家が建ち、俺は第二のスライムダンジョンを完全に掌握した。


そのことをギルドマスターに説明すると、受付嬢とともに新築の家に駆けつけてきた。


「この度は本当にお世話になりました。こちらはつまらぬものですがお受け取りください」


ギルドマスターと受付嬢はどけ座して折り菓子を渡し始めた。俺はとりあえず受け取った後。


「今回は俺もそちらの頼みを断りましたし、いつも通り対応してくれれば構いませんよ」


ちなみに俺がこういうのはスキル【読心】を取得したからで、この2人が信用に値する人物だと証明できたからである。


「では、このダンジョンから産出される魔石も我々が買い取って構わないですか?」


「いいですよ。他の企業は俺がガキだと思って足元みて吹っ掛けてくるだけですから。むしろそういったやつらが来ないようにしてほしいです」


「分かりました。上と掛け合ってみます」


「ところで春樹君、探索者証は本当に作らなくていいの?」


「スキルを公に公表する気がないので構いません」


春樹はこんなに国に貢献しているにも関わらず探索者に加入していない。いわゆる無職であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る