第2話 ちょっと状況を整理しようよ


 そういうわけで、目覚めたばかりの私はまだ混乱している。

 質問して良い?


「はいどうぞ、マスター」


 私はアグリ王国の公爵令嬢であるクリスティーナ・キース・ウィンズベール。兄さまと父様と母様がいて、領地の館には父様の両親であるおじいさまとおばあさまが住んでいる。基本的に私は領地の館に住んでいる、7歳の女の子、だよね?

 魔力量はお母様とおばあさまに似たのか、普通の人よりも多く、魔法士向き、でも何に向いているのかはまだ不明。使えるのは水系の魔法と癒しの魔法、生活魔法は全般使える、だよね?


「訂正させてください。魔力量は異世界転生補正で多少多めになっています。訓練次第ではさらに多くなる余地があります。それから、使える魔法の属性は世間一般の認識と同じく全属性の魔法が使えます。水属性と土属性に適性があるので、こちらは訓練次第では有益でしょう。光属性と闇属性は日常生活程度で進展しません」


 待って、光属性と闇属性が日常生活程度ってどういうこと?


「簡単に言うと、一瞬だけぱっと光らせる程度、蝋燭なら3本か4本を同時に呪い消せる程度です」


 気に入らない奴に禿げろって呪ったら?


「そうですね、最大魔力量を使って1センチ程度のハゲができる程度でしょうか。効果は1週間程度です」


 燃費悪いね。


「家系から受け継がれた魔力量と属性ですので、補正は多少、というレベルにしてあります」


 つまりウチの家系、魔術師並みに魔力量が多いということ?


「はい、誰一人として魔術師になる人はいませんでしたが」


 そうなんだ。いやいや、そこじゃなくて。純粋な好奇心、どうして日本に住んでいたごく普通のおばさんの記憶があるの?子供もいたよね? 記憶が怪しいけど、一人は、確か息子は結婚したはず。


「前世の記憶については私は関知していませんので引継ぎ上しかお答えしかねますが、ごく普通の専業主婦で、お子様は二人。一人は男性、一人は女性、マスターは不慮の事故で亡くなっておられて、もう葬式も出されていることになっております。それ以上のことは、ご自分で思い出していただくしかありません」


 そういうことなのね。ああ、死んでから7年もたっていれば7回忌だよね。いや、死んだ年も足すから8回忌か。それ以前に時間軸は一緒なのか? これって中二病案件じゃん。不登校だった息子と一緒に中二病した経験あるんだもん。いや、ここを解明しても話は進まないよね?


「といったように、現代日本の知識をそのまま今のアグリ王国に持ち込まれると、こちらとしてはいろいろ不都合が起きるので、私コマンドが一定期間のフォローをするということになりました。マスターが一定条件の知識を習得されれば、私はお役御免になるので消えます」


 心を読まないでくれる?


「いえいえ、最初が肝心ですから」


 じゃぁ最初が肝心だというのなら、疑問に答えてくれる?


「答えられる範囲でしたら」


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