12
「おいおい、こいつはどうなってんだよ」双葉は何度も瞬きをしながら、呟いた。「これで三人目、その三人それぞれの家族が殺されてるってのはさ」
そう、僕たちが追っていた首切り殺人事件の被害者の三人。その三人の家族から被害者の情報、誰かに恨まれていなかったかとか、変わった様子はなかったか、どんな些細な変化でもいい、そういうのはなかったか……、なんてことを聞こうと思っていたのだが、結果は散々だった凄惨だった。
この街は平穏でなんの刺激も事件もなかったのにここにきて殺人事件とは。それもこの法治国家の日本においても稀にみる凄惨な連続猟奇殺人事件である。
この街で今なにが起こっているのか、起ころうとしているのか。誰かがなんらかのスイッチを押してしまったかのような急な展開だ。これが僕が求めていた展開、だとはとても言えない。
そして、当然の帰結だが、人が死んでいる以上、殺しているやつがいるってことだ。この街に。
「まだ諦めるのははやいぜ、双葉。三人の被害者はそれぞれ女子生徒だってことだ。これは唯一の共通項であり、謎を解く手掛かりとしては、あまりにもあからさまだ。犯人は女子生徒になんらかの趣味嗜好があるのかもしれない」僕は自分の言葉に気持ち悪さをおぼえた。犯人はとんだサイコ野郎だ。正常だとはとても言えない。異常、だ。
「犯人はロリコンのど変態野郎ってことか。そーゆー方向で探せばいいんだよね、伸二くん」
「まだ判断材料が全然揃ってないからなんとも言えないが……」僕は言う。「学校関係者から当たってみよう」
僕の言葉に双葉は素直に頷いた。
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