第58話 クエスト100個完了

クエスト100個完了


マリカはその姿通りLV75の魔将軍ザントなど相手にはならないほどの力を持っていた。

但し相手が魔法を多発して来たので少し時間がかかったと言う所だろう。

そしてカリンの相手はほぼ爆死と言って良い、多分俺より早く魔将軍を倒していたのではないだろうか。


「終わったね」カリン

「ああなんとかな…」

「で どうすんの?」

「俺は一応クエスト100完了した、そっちは?」

「アタイも同じだ、それよりもあの人だれ?」

「彼女も鎮魂者、俺達と同じ転生者だよ、しかも秋元君の従妹」

「秋元君?あ~彼女ね、そうなんだ」

【クエスト100個完了おめでとうございます、まずは画面を開いてクエスト完了のプレゼントをタップしてください】

「これかな?」


そこにはクエスト100個完了のプレゼントが書かれていた。

1・現世へと戻る

2・この世界にとどまる

そしてそれぞれに条件が書かれていた。


「現世に戻ると記憶が無くなるのか?」

「うそ!」

「これじゃこの世界の事を公表できないな」

「そうなの、だから私はこの世界に残ることにしたの」

「何か良い作戦は無いか?」

「ちょっと見せて」


カリンが俺の画面をのぞき込む、通常村人NPCからは見える事は無いが、彼女や俺みたいに鑑定スキル持ちだと同レベルのステータス画面は見ることができる。


「どうした?」

「あんたの画面こっちのと違う」


よく見るとその通り、花梨の場合と俺の場合この世界にやって来る過程は同じでもAIアプリの持ち主と、巻き込まれた人間。

分けて考えるとおれはメインで花梨はサブと言う形になる、そして最初に解説者が言っていた配布されたアプリにはこの世界で培った能力を現世に反映させることができると。


「どこかに詳しく書いていないか?」

「え~そんなの無いよ」

「マリカさんは?」

「私のは皆さんと違うようです」


彼女のステータスにはcopy(コピー)の印が、要するに彼女はアプリのコピーで写メを撮られこの世界にやって来たと言うことになる。


「と言う事はマリカさんは何も現世に持ち込めないのか、なるほど」

「アタイもなのか?」

「どこかに抜け道が有りそうだが」


これでは現世に戻った時ノブユキ以外はこの場所で起こった出来事は全て忘れ去られてしまい現世で調査を続けることもできなくなる。

ステータス画面をよく見るとその違いに気づいた事が一つ、そして以前アプリゲームをした時によく出て来た引継ぎのやり方を思い出した。


「確かこのIDを記憶して置いて…」


俺はメモ機能を表示させてカリンとマリカのIDを入力する、そしてそのデータを彼女らにステータス画面のインベントリーにあるデータ移動の際に使われる一時保存場所に入れ込んでもらうようにしてもらった。


「これどうすんの?」

「俺のインベントリーの中にこんなものがあるんだが」


それはこの世界で起こった情報を現世に持ち帰る時使用するキューブ(四角い箱)。

それはオリジナルのアプリを持つノブユキしか所持していない。


「とりあえずスマホを出して」


キューブは多分コピーして渡すことも誰かにあげる事も出来ないだろう、だがスマホはこの世界に全員が持ち込んでいるはず、

彼女らにIDとデータ移譲の一時保存場所を作成してもらいスマホ内に保存することができれば。

そのデータをスマホ経由でノブユキが預かり、現世に復帰した後彼女らに渡せばどうなるだろうか?

これは一つの賭けでしかない、俺しかこの世界の情報を持ち帰れないのならば俺が全てを受け取り持ち帰ることで、後程彼女らに記録を移譲すればもしかしたら彼女らにもここの記憶を復活させることができるかもしれない。


「という分けだ、まずはスマホ同士でデータ通信ができるかどうか…」


スマホとステータス画面のインベントリーがリンクしていなければ俺の情報も現世に持ち込めないはず。

だが解説者は言ったオリジナルのアプリを持つ者がクエスト100個クリアすれば現世にこの世界の情報を持ち込めると。

そのデータがどこまでなのか分からないが、俺は一つの望みをそこに託すことにした。


「送ったけど…」

「こっちも」

「おーヤッパリ、スマホがこの世界でも使えるってとこが味噌か…」


アプリの中=ネットの中=スマホとゲームは連動=データは移動できる。


「これでうまく行くか分からないけど、向こうに戻ったら必ず会いに行く」

「アタイはどうせバイトで会うから」

「私は…」

「秋元君から教えてもらうよ、但しこのことはバレないよう慎重にしようと思う」

「確かにその方が良いかも」


この状況も運営は見ているかもしれない、AIはどういうつもりなのか分からないがこの謎を解き明かさないと、この先も犠牲者が出るだろう。


「わかったそうしよう」

【お決まりになりましたか?】

「ああ3人共現世に帰る」

【かしこまりました、それではデータを移動します】

【バースアウト】


3人は光に包まれそして現世へと戻って行った。

善行は3人共にLV50を超えている、特にマリカはクエスト200以上をこなしておりコピーバージョンのアプリで異世界へと渡ったはずだったが、彼女・彼の存在はAIアプリ側でも多くの情報を得られたことだろう。

この先 行方不明者が出るかどうかは分からない、ただ善行を行う事が世の中を正しくするのなら。

悪行を罰するシステムが法だけを頼るのでは無く、いずれこのようなアプリを必要とする世界が訪れるのではないだろうか。



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