第56話 町が魔物で溢れる

町が魔物で溢れる


折角、宿泊費を払い泊まることにしたはずが、再び戦いの中へと借り出される。

外へ出るとそこには羽付きの魔物が人を襲っている。


「キャー」

「なんだ、こいつら!」

「たすけて!」

【町人を救え:最低10人以上助けろ】

【魔物のリーダーを5体以上倒せ:魔物のリーダーは一回りデカい】

【この町から逃げよう:隣の町まで行けばクリア】

【…】


もうクエスト発生の音声を聞く気にもならなくなった、どうやら聖女の方も同じクエストが発生している様子。

サーチスキルと索敵スキルで魔物と町人がいる場所は全てわかる、町の外へと移動しながら二人で魔物達を倒して行く。

いつの間にかマリカは今までの聖職の際に着ていた法着を勇者セットと思しき装備に変更していた。


「やっぱり、癒術士は二次職で?」

「ええ、そうしないと穏やかに暮らすことができませんでしたので」


要するに彼女はこの世界で最低3か月以上暮らしているのだ、転職していない訳がない。

マリカも最初は戦士を選択したそうだ、だがクエストをこなしていくと求婚の嵐に合ったそうだ。

だから転職したと同時に癒術士となり聖職に着く決意を固めた、そうすれば面倒な求婚から逃れられると考えたからだ。


「これで100匹」

「こちらも」


戦いながら町をどんどん歩いて行く、マリカは俺よりも実は強かった。

手に持っているのはやはりエクスカリバー、同じ聖剣が2本あるのはどういうことだ!と言いたいが、まあゲームの世界は何でもありなので、ここで文句を言っても仕方がない。


「まだ終わらない」

【魔将軍をたおせLV60:やられると終わり】

(出たよ…)


もう幾つクエストが発生したのかすら分からなくなってきた、おおよそこの町だけで50以上はこなしただろうか?

俺のLVもいつの間にか60を超えている、途中で出くわした魔物のリーダー格は殆どLV40以上。

マリカは楽に屠っていたが、俺は武器も途中で甚平刀へと換装して速さを重視。

そうしないとマリカに先を越されてしまうからだ。

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