第50話 聖女の待つ洞窟
聖女の待つ洞窟
急ぐ、それしか助ける方法はない、既に二日経っており今晩が儀式を執り行われるその日だと言う。
俺は走った、ロック隊長も同行すると言ったが、彼らには邪教徒の残りがこの公爵の館に来た場合、捕まえておくようにと頼んで俺は一人で向かう事にしたのだ。
「ハッハッハッ」
勇者セットで底上げされたSPD、その力をフルに使えば30kほどの距離10分もかからない。
その代わり向かってくる魔物は全部弾き飛ばしてしまい、ストレージへお宝を仕舞う事も出来ないのだが、そんなことにかまっている暇はなさそうだ。
いつの間にか時間バーが表示され残りの時間をカウントし始めた。
(まじかよ!後10分だと!)
その頃洞窟の中では掴まってしまったセイヤがいつの間にか石の壁に貼り付けられていた。
「ぐあ!」
「こいつはなんだ?」
「迷い込んだ村人か?」
「いやここへの道は全部塞いだはず」
「もしかして勇者?」
「やめろ、こんな薄汚いのが勇者な訳が無いだろう」
「それもそうだ、勇者ならこんなにヨワヨワな訳が無い」
「それよりもそろそろ始めるぞ」
5つの寝台にそれぞれ邪教徒が立ち、その手にはナイフが握られている。
そのナイフが裸の女性たちの胸の上に掲げられて、今にも振り下ろされると思った瞬間。
「ちょっと待ったー!」
「な なんだ!」
「この魔方陣を消してしまえば…」
「誰だ!」
「はい終了」
「そいつを殺せ!」
マリシーナ嬢に魔法陣をどこか消せば召喚の儀式は魔方陣を書き直すまで行えないと教えてもらった。
「魔法陣をどこでも良いわ、一番良いのは文字ね、それを一つでも消せば時間を稼げるはずよ」マリシーナ
「なるほど、そうすれば又書き直さなければならないと?」
「ええ、その通り」
魔法陣の文字は血と魔石の粉を練った絵の具で描かれているらしい、それはあらかじめ用意しておかなければできない事。
だからそれをどこでも良い、消し去れば専用の絵の具で書き直すしかなくなる。
自分達の血を使いすぐに書いても魔石の粉がちゃんと混ざっていなければかなり低い効果しか出ないという、そういう設定らしい。
「ここを消せば召喚の儀式は又最初からと言う話を聞いたが?」
「お前は…」
「俺 勇者?」少し首をかしげながら
「自分で言うか!」
「いや別にそんな事どうでもいいが、お前らが悪人なのは一目瞭然だな」
「早くこいつをどうにかしろ!」
「ムダムダ!」
跳びかかる邪教徒をよけながら攻撃して行く、LV10前後の奴ら等殺すぐらいたやすいが、ぬるすぎて殺すまでもない。
いつの間にか慣れて来た対人戦、それも戦士LVが40まで上がりスピードもアジリティーも100は軽く超えている。
「遅い!」
「ガスン!ドスン!」
「ナイフは頂いておこうか」
戦いながら敵が持っている武器はさっさとストレージへとしまい込む、本来他人の物はすぐに自分の持ち物へと変更できないのだが。
こいつら全員オレンジか又はレッドと言う事で犯罪者の物は盗んでも構わないと言う設定らしい。
「くそー」
「最後はお前だけみたいだが?」
「来るな!聖女がどうなっても知らんぞ!」
「へー 聖女は不死だってお前、知らないのか?」
「は?嘘だ!」
「だから聖女なんだろ、勉強不足じゃないのか」
「ほら捕まえた」
「何時の間に…」
「とりあえず眠っていろ!」
「ガスン!」
勿論聖女が不死なんて言うのは嘘だが、ナイフで心臓を刺されたとしてLV40を超えている癒術士がそう簡単に死ぬことが無いぐらい俺でも分かるHPが半分ぐらい減るだろうが鑑定スキルで見てみると彼女もやはりリペア又はヒーリングのスキルを持っているのが分かる。
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