第32話 ノブユキピンチ!
ノブユキピンチ!
目の前は蜘蛛だらけ、道幅は3メートルほど、道の脇には草が生え右も左も雑木林。
だから雑木林から伸びている枝に、蜘蛛がぶら下がっているのだが。
このデカブツだけは道でどっかりと構えていたりする、でかいから道のわきに生えている木の枝にはぶら下がるのは無理そうだ。
だが小さい蜘蛛達はこの先10メートル以上の枝にもれなく巣を張っており、通ることなど出来なさそうだ。
「う~ん、逃げるか…このまま進むと蜘蛛の糸が絡まりそうだよな…」
蜘蛛が餌を捉えるのは殆どが糸に絡まって動かなくなってからだ、目の前の大蜘蛛もその性質は同じだろう。
どこかの物語みたいに言葉を理解できたりすればまた違うだろうけど。
どう考えてもその体にある柄は大きさの大小はあれど同じ蜘蛛のように見える。
これはこの世界の魔獣であり、モンスターのNPCと言う事だ。
こちらから進んで蜘蛛の巣に絡まったりしなければ、あちらも攻撃することも無いだろう。
【クエスト発生:旅の商人を救出せよ、蜘蛛だらけな道を調べたら大変なことに】
「わー マジかよ!どこかで俺を見張ってんのかここの運営?」
ノブユキはこのアプリはどこかの会社で運営していると思っているのだが、果たしてそうなのだろうか。
「旅の商人って…」
よく見るとデカ蜘蛛の後ろには、馬らしき生き物と見事に蜘蛛の巣に絡まった馬車らしきものが見える。
幅3メートルは馬車ギリギリの広さ、無理をすれば通れなくもないがその場合枝を掃うのが普通。
よく見ると馬車の背後の道は枝はらいをしていた模様、所々枝が刈り取られている。
だがこちらから見ると完全に蜘蛛の糸で通せんぼされている形だ。
「こういう時は火が一番なんだよな…」
貰った特典にそんな物は無い、いや唯一仕えるのはケミカルセットぐらい、物陰に隠れてセット内容を確認してみると、そこには火打石と言うのがある。
それからランプに入れる燃料がガラスのボトルに入っている。
ケミカルセットは茶色いカバンに各種の道具が詰められている、中には火薬と言う物も含まれていた。
「これならいけそうか?」
まずはガラス瓶に入ったアルコール瓶にランプの紐を差し栓をする、そして火打石を使って火を着ける。
「ガチャチャ!」
数回火打石を擦り合わせその火花を糸に近寄せるとうまい具合に火が付いた。
タイミングを見計らい即席の火炎瓶を大蜘蛛めがけて放り投げる。
「これでもくらえ!」
「ブン」
「ガチャン!」
「ボウ!」
火炎瓶はアシストされたATのおかげか大蜘蛛の体に当り跳ね返って地面に落ち。
思った通り瓶がはじけると中に入っていたアルコールが飛び散り一気に火が着いた。
「ギギギギギ」
「ザザザザ」
さすがにこれはまずいと思ったのか一斉に蜘蛛達が逃げ出していく。
だが信之も敵が逃げたとして目の前は火事になっており馬車へ近寄るのも難しい。
「やべ!馬車も燃えちゃう…」
『ウォタラ』
「バシャン ザー」
【クエストクリアです】
このまま馬車まで燃えてしまうと思っていたのだが、どうやら馬車に乗っている人が、様子を見て水の魔法でも使用したらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます