第28話 ロック村

ロック村


この地域は鉱石の売買で暮らしているのだろう、村がある丘から見下ろすと鉱山らしき山が見えて来る。

そこにはいくつもの建物が見え、村の建物よりそちらの方が頑丈に建てられているように見える。


「お母さんただいま!」

「あなた達どこに行っていたの!ゲホッゲホッ!」

「起きちゃだめだよ」

「そちらの方は?」

「このお姉ちゃんに助けてもらったんだよ」

「申し訳ございません家の娘たちがご迷惑をかけてしまったようで」

「あ~いや 別に…」

「そうだ、すぐお薬作るから」

「お薬って?」


取って来た花は既に双子に渡してある、彼女らは台所へ行くとその花の花びらを臼のようなもので細かくすりつぶし、布で包み器に絞る。

その汁は何故か白く濁っているが、強烈なハーブのような匂いが漂う。


「はいこれ、飲んで!」

「あなた達、毒消し草を取りに行ったのね!危ないからやめてって言ったのに…」

「だって~」


毒消し草、買うと金貨2枚以上する。

勿論この村にはそんなものと言うかポーションの類など常備しておらず手に入らない可能性が高い。

確かに鉱山労働者が怪我をした時の為に事務所には怪我を治すポーション類などが若干あるが、それも使用できる条件が有ったりする。

医者もひと月に1回来るか来ないか…こんな僻地ではちょっとの油断でも死神が目の前でウィンクする。

母親は鉱山労働者の飯炊きをする仕事をしていた、運悪く鉱山から這い出て来た毒蛇に噛まれ後二日遅かったら命は無かったと言う事らしい。


【双子の母親を救え、クエスト完了しました】

(やっと一つ…)


ノブユキとは違い花梨のクエスト進行はややゆっくりと言った所、まあこの先どんなクエストが待っているのかはまだ分からない。

アプリゲームなどしたことのない花梨にはこのぐらいのペースが妥当かもしれないが。

このゲームがそんな甘い余裕を与えてくれるのかは先へ進めばおのずとわかるだろう。

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