第3話 よくあるバイト

よくあるバイト


俺は授業が終わると小遣いを稼ぐため飲食関係のアルバイトへと向かう。

先月までは某カラオケ屋さんでバイトしていたが、大学へ進学しバイト先を飲食関係へと変更した。

厨房を駆けずりまわる下っ端アルバイトだが、こちらの方が現在は時給が良かったりするから仕方のない話。

しかもバイト先のウェイトレス2名が結構可愛かったりするので、まあまあ満足している。

若干ブラックなのが気になるが、若いうちは何とか無理も利くので忙しくてもそこは我慢のしどころだ。


「Bセット入りまーす」

「レジお願いしまーす」

「有難うございましたー」


大きな声でお客様を送り出す、厨房は現在4人フロアーには5人のウェイトレス。

俺のバイトは午後6時から10時までの4時間だが、食事時と言う事もありかなり忙しい。

女子も同じ時間でバイトに入っている為、帰りが一緒になることもしばしば。


「佐藤君おつかれ」

「山口さんお疲れ様でした」

「これから帰るの?」

「はい帰るだけです」

「少し付き合ってくんない?」


一瞬舞い上がりそうになるが彼女はいわゆるセミヤンキー、言葉使いが普段は結構そちら寄り。

バイト中は猫をかぶっているので、そのままならかなりかわいいしスタイルも良い。


「どこに?」

「いやなの?」

「そうじゃなくて、場所ですよ 先日みたいに遠くまで付き合うのなら無理です」

「遠くはないけど…」


こういう時のモジモジはやめて欲しい、別に付き合っているわけじゃないのに勘違いさせるようなそぶりは反則だろう。


「これから行かないといけない場所が有んだけど…」

「だから本題に入ってください」

「えーと合コンみたいな…」ボソッ

「何時まで」

「オール」


ちなみに明日は土曜日であり俺も彼女もお休みにしてあったりする。


「予算は?」

「5千円」

「…あるかな~」

「足りなかったらうちが出すから」

「もしかしてそうゆう縛り?」


そう言うと彼女の目が泳ぐ。


「仕方ないじゃん、皆 彼氏連れて来るって言うし」

「プライド?」


ちなみに彼女には現在付き合っている男子はいないらしい、これでも結構清い子だったりする。確か先月まで付き合っていたやつとは別れている、ホテルに連れ込まれそうになり膝蹴り入れて速攻でバックレた と言う話を聞いた。

彼女は空手2段だと言うのも聞いているので、下手に断ると面倒事に発展する可能性も。


「だめ?」


今度は泣き落としだよ。

おれより身長が低いため上目使いですり寄る、顔がかわいいので皆こいつのそのしぐさでやられてしまうのだ。


「場所は?」

「駅前のカラオケ屋」

「和風カラオケ阿吽の壱か?」

「アタリ!」

「朝までは無理だぜ」

「あたしも途中で帰るから大丈夫」

「抜け駆けしないで帰る時は教えろよ」


たまにこういう集まりに参加すると呼び出しておいて沢山食べて自分らだけ先に帰る輩がいる。

カラオケ屋でバイトをしていた時にそういう輩を数件見たことがある。

まさかこいつまで俺を騙したりはしないと思うが、こいつが騙されている可能性は捨てきれない。


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