第2話 悪友
悪友
昔の人は写真を撮ることを怖がったと聞いたことがある、それは魂を取られてしまうと思ったからだが。
実際にはそんなことなど無く、現在は簡単に自撮りも出来るし何処に行っても記念写真をバンバン撮りまくる観光客でいっぱいだ。
いつの間にか忘れ去られている過去の話、命を吸い込まれるのではないかと思っていた昔の話。
俺もアプリの事はそのまま放置していた、まさかあんなことがあるとは思わなかった。
大学が始まり2か月が経ちようやくキャンパスにも慣れて来て、学生たちが色んな模様し物へと参加して行く頃、俺も友人の伝手で青春を謳歌しようとしていた。
「お~入学式以来だな」
「ミツルか?」
同じ大学に受かったクラスメイト、専攻が違うため同じ授業に顔を出す事が殆ど無いが、こいつは昔から付き合いがある俺の悪友の一人。
顔はイケメン身長は180センチ、だが付き合って来た女は片手では足りないと言う。
ではなぜ俺に声を掛けて来るのかと言えば、俺が普通でありパッとしない容姿をしていたりするからだ。
鏡を見るとそうでもないと思うのだが、瓶底メガネをかけている為か、やや見劣りするのは仕方ない話。
コンタクトレンズは厚みがありすぎて使用できないと言う重度の近眼に、片目は乱視と来ては眼鏡以外の選択肢は難しかった。
「何か用か?」
「来週末合コンやるからお前も来いよ」
「え~?」
「なんだよ、俺の誘いを断るのかよ!」
「そうじゃなくて持ち合わせが…」
「それなら任せろ、ATMを用意して有っから」
ATM、要するに合コンに参加するメンバーの中にATMとなりうる金持ち、いやカモがいると言う事になる。
そういえばミツルが良くつるんでいた男子を思い出した、そいつはもちろん高校の同級生であり俺も知っている人物。
大学に進学してからは別々の大学になったので、彼がどうしているのかは俺には分からない。
「そいつが全部出すって言うから参加しろよな」
「それなら構わないけど…」
「じゃあ決まりな!」
勝手な奴だ、だがミツルはモテる 口先三寸で嘘を誠のように操(あやつ)り女子の心を奪っていく。
確か今までフッた女子は30人を超えると聞いたし、現在進行形で10人ほど同時に付き合っていると言う噂も聞く。
それなのに合コンに出る必要性が分からない、まあこいつの性癖なのかもしれない。
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