第3話



 世の中には良い奴もいれば悪い奴もいる。

当然のことだろ?

しかし、本当にそう思えるかい?

私の答えはNOだ。

良い奴ってのは単なる馬鹿で、悪い奴ってのは賢い奴のことを言うのさ。


 この世の中は悪魔に支配されている。

そう思う奴は、所詮は負け犬の言い訳さ。

違うかい?

どんなに良い心を持っていたって、勝たなきゃ何も手に入れられない。

そういう事だろ?

自分自身を保つためにも勝ち続けなけりゃ駄目だってことさ。


 じゃ逆にこの世に神は存在する、って言える奴はどんな奴だと思う?

簡単なことさ。

どんなに悪いことをしても捕まらない幸運を持って生まれて来た奴のことをいうのさ。

そいつらだけが神の落とし子になれるんだよ。

大量殺人をしても捕まるどころか英雄にさえなれるのさ。

そして崇め奉られる。

歴史が答えを出しているじゃないか。


 肝心なことは成功した奴にとって神や悪魔なんてどうでもいいってことなのさ。

もしかしたら、破滅を悪魔と呼んで、再生を神と呼んでいるだけのことなのか。

私から言わせてもらえるなら、それはとんだお門違いもいいところさ。


 いいかい、私は破滅した奴らを散々見てきた。

でもね、奴らは決して不幸な奴ばかりじゃないんだ。

落ちて落ちて裏の社会で成功して来た奴もいる。

私から言わせれば、落ち着くべき場所に落ち着けることができた、としか言いようがないね。


 もっと言えば、再生ってなんだい?

苦しみや悲しみの中から這い出て、そこには、また新しい苦しみや悲しみがあるだけじゃないか。

それでも天に向かって祈りを捧げている。

人のやることにいちいち口出しはしないが、何度苦しんでも、何度悲しんでも、生き方を変えれない馬鹿な連中さ。

私には、そうとしか思えなえないんだよ。

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