第17話  ゴブリンとか無理

 この世界には他人のレベルを奪って殺す禁術があるそうで、禁忌とされているんだって。掟を破ってレベルを奪う行為に出たら極刑は免れないとか何とか。


「いやいやいや!違いますって!」


 僕は死にたくないので、昨日から今に至るまでの出来事を詳らかに説明する事にした。

 異邦人目当てに南の密林からギャング団が現れて、生徒達を守るためにイメージの力で倒したこと。


ある程度倒したところで、頭の中で言葉が響き、三十人の生徒を守った事でボーナスポイントが千ポイント入ったこと、それでレベルがグアーッと上がったんじゃないのかなぁということを説明する。


「ふーん、異邦人特典というピョンかな〜」


 長い足を組んで考え深げに腕を組むカミーユさんは、そりゃあ綺麗な人で、そんな人と部屋で二人っきり、だけど全然嬉しくない、早く宿舎に帰りたい。


「先生、もしかしたら先生と同じように、連れて来た子供達もスパッとレベルが上がる性質があるかもしれんピョンね〜、可能性がある子がいれば、ギルドで鍛えてやっても良いピョンけど」


「鍛えるってどう鍛えるんですか?」

「魔獣討伐ピョン」

「うーーー〜ん」


 ここで魔獣討伐ですか!


「どっちにしろレベルが38もある先生は、魔獣討伐はやってもらう事になるピョン。国としても、レベル25を超えたら魔獣討伐の強制クエストが発生する仕組みになっているピョン」


「何すかその強制クエストって!」


「いずれは強い魔物相手に戦わなくちゃいけないピョンけど、先生も、同じ故郷の子供達と一緒に戦った方が、色々とサービス特典が付いて良いんじゃないピョン?」


「サービス特典?」


「だって、三十人の生徒を守っただけで千ポイントもゲットしているんだピョン、生徒を守ってポイントゲット出来るなら、レベルが低い子でもある意味、使い道がある事になるピョン」


「それで生徒が怪我とかしたらどうするんですか?」

「それは仕方ないピョン、冒険者はいつでも死ぬ覚悟で冒険にのぞむものピョン」

「そんなことのぞまないぴょんーーー!」


 僕の頭の中には校長、教頭、教育委員会、保護者各位がぐるぐる回りだす。おまっ、生徒が死んだら、担任がどんな扱いを受ける事になるか分かった上で言っているんだろうな〜!


「どっちにしろ、明日には強制クエストに出発してもらう事になるピョン。丁度、リスカム山の麓の村からゴブリンの巣が見つかったと報告があったばかりピョン。そこに出向いて行くとして、丁度冒険者登録も済んでいるピョン。自分の生徒とパーティーを組んで行くかどうかを、薬草採取の最中にでも考えれば良いピョン」


 ゴブリンとかマジかよ〜!ファンタジー展開いらねーって!

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