第4話
ある日、ケアマネージャーの紹介で隣県の老人ホームに演奏会を頼まれた。
T川の畔にある建物は煉瓦タイルの瀟洒な建物だった。1階のエントランスはホテルのようだった、約200㎡くらいの空間は赤いじゅうたんが敷かれ隅の方にはグランドピアノが置かれていた。観客用のいすはピアノに向かって数十脚が置かれている。ピアノのとなりには演奏用のクラシカルないすが置かれていた。
私はそれらを見て少し心地よい緊張がこみあげてくるのを感じていた。演奏用のいすに腰を下ろし、ギターと譜面台をとりだした。ちょうどそこに紹介者のケアマネージャーが現れた。「遠いところありがとうございます。間もなく皆さん集まりますから」私は軽く頷き「これを皆さんに配ってください。」私はプロフィールと題目がプリントされている紙を数十枚手渡した。
年寄りが三々五々さまざまなスタイルで集まってきた。高齢者が多いせいか車椅子も多くみられた。介護職員の方は意外と若い方が多いようだ。私はそれを見て少しほっとした、やはり若い方はよく反応してくれるし、弾き甲斐を感じさせてくれる。
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