第2話

 1時間くらい運転をすると難なく実家に着いた。

早速、戸窓を開けて掃除に取り掛かった。4DKの家なので掃除は少し大変であったが、追々やっていこうと途中でやめてしまった。マイペースでよいのだ。一抹の不安もよぎったが代えがたい解放感がすべてに優先した。私はこれからの生活のグランドデザインを思い浮かべた。とにかく自由と時間はたっぷりある。自分の気分と体調に合わせていけばよいのだ。少しの仕事と趣味と散歩を生活のコアにしてあとはケースバイケースでいこうと。先ず仕事は幸い現役時代の延長でリモートワークの仕事を少しもらった。趣味は学生時代から弾いているクラシックギターの演奏を老人ホームなどでやっていこうと決めていた。散歩は今も毎日続けているが、こちらでもやろうと思っている。一見充実しそうにも見えるが、厳格に実行しようとは思っていなかった。

 実生活に入ると案の定、朝は10時ころ起き、寝るのは12時ころと社会とは少しずれたリズムになった。きなりに寝起きをしているので体調はすこぶる良い。

 午前中はパソコンをいじり、午後はギターの練習をした。飽きたら、ぶらりと散歩に出る。時折立ち寄るカフェーでは同世代のマスターと話が尽きない。充実しているのかいないのかわからないが毎日が気持ちよく過ぎていくのだ。


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