第3話 話しかけてもいいのかな?
卵が小さな間隔を開けて、前と後ろで二つ転がっていた
森の下の草むらの中、後方の一つはピヨ、前はルヴナンが進んで行く
ピヨは焦っていた、それは寂しさから出る会話をしたいという飢えであった
話しかけていいのかな?話しかけようかな?勇気が出ないな……どうしてうまく話せないんだろう?
ころころと転がっていく二人の間に、沈黙が走るのが長く感じられた
少しの転がる速度の間なのに、なんだか遠くに感じるピヨ
もっとうまく話せたらと喉奥から絞るのだが、勇気が出らずに震えてしまうのだった
「殻の中は心地いいよね」
その第一声に喜びを感じるピヨ
純朴なまでにぴょんぴょんと卵を跳ねさせてしまう
「うん、心地いいよね」
そう帰した後、話が続かなくなってしまった
なんてつまらない返しをしてしまったんだろう、僕は不器用すぎると焦るピヨ
また沈黙が続いてしまうのを避けたく成るピヨだったが
ルヴナンは気優しい声でピヨに話しかけた
「無理に話さず、傍にいてくれればいいんだよ」
その言葉に何かほっとするピヨ
そういわれると、先ほどの沈黙に対する焦りが、相手の存在を感じるための時間へと変わった
ピヨは転がる中で、前のルヴナンの存在をじっと感じ取っていた
それはなんだかじんわりと温かい感覚へと変わり、幸せな気持ちになった
二人ただ転がっているだけなのに、幸せな空間に様変わりしたのだ
ピヨはうれしくなって、卵を揺らしながらレヴナンの卵の後ろをついて行った
このままずっと、傍にいる感覚が続けばいいとさえ思ったのだ
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