毛虫病

イタチ

第1話

時は、どうしようもなく無情に、流れるもので、雲を追おうと、人を追おうと


其れは、まるで、水をすくうように


そこに浸していない限り


其れは、全力を、期しても零れ


また、いい加減に、過ぎ去ろうとも、同じようにさえ


見えてしまいかねない


しかし、すくい取った


その水は、明らかに、確かに、そこに存在していたのでは無かろうか






突然の痛みに、妻 妙子は、


高熱にうなされながら


隣の布団で、うつ伏せに、寝ている


其れは、丸まっているためであり


すぐに向きを変え


動きを変える


わたしは、何事かと、彼女に、近づくと


彼女は、全身に、びっしょりと、滑るような


汗を、かき


暴れたせいか


服に多少


赤い色が見える


「おい」


わたしは、彼女の高温の地肌


にも、驚いたが


その顔は、どこまでも、悪鬼のように、冷徹で、苦しげであり


事の重要性を、鑑みたわたしは、


其れは、ただ事ではない


風などではない


そう思え


その日は、仕事に出ず


そのまま、彼女を、近所の総合病院


に、搬急した


仕事で使う軽トラの前座席


彼女の表情は、暗く


わたしは、信号の待合いに


彼女に、視線を移すと


妙な腫れを、彼女の体に見た


けがをしたところだろうか


わたしは、さわろうとしたとき


「青よ」


彼女にそういわれ


車を、発信させた




地元から古くからある


開業医であり


元は、産婆のようなものであったか


いつしか其れは、巨大なものへと替わり


ここら辺では、最も大きな建物へと変化していく田圃のどこからでも見渡せる


その巨大な四角い白い箱の前には、


巨大な駐車場と、大量の車が、立ち並ぶ


わたしは、その中で、すいている場所に、車を止めると


彼女をおろし


病院内へと向かう


清質な室内は、外とは違う空気に、満たされており


その作られた


コンクリートの箱ともいえる


無菌の中に、入ると


受付に向かう


暗いが、天井から、わずかに漏れる日光が、


一種、独特の森林光にも、類似させた


「分かりました、少々お待ち下さい」


バス停を、束にしたような


椅子の数々


その中に、妻と座る


「大丈夫か」


彼女の顔色は、土のように悪い


「だいじょぶか」


返事はなく


わずかに聞こえる


場内放送は、


聞いたこともない


微音のクラシックのピアノのようであった


なにか居るかと言っても


返事のない彼女に対し


わたしは、ただ無言に、彼女にハンカチをわたし


椅子に座る


休むのはいつ以来であろうか


向こうで、受付の人が、せわしなく、仕事をしているようである


造花だろうか、無機質な、プラスチックの大きめの観葉植物が


暗めの室内で、ぽんぽんと、置かれている


広い空間


音が、どこからか、わずかに聞こえる


妻は、うなっている


苦しいと


言う




「それで、どうなさりましたか」


その顔には、見覚えがある


確か、この病院の院長だ


院長が、果たして、こんな仕事にでるのだろうとも思うが


しかし、出ないなんて事も待たないのであろう


「はい、今朝方、うなって、布団で、熱を出していて


急いでつれて来たんですが


おい、病状を、」


妻は、顔を上げる


「すいません すいません」


院長は、「はあ」と、首を傾げ


先を促す


「はい、まるで、体を刺すように


それこそ、縫い針で、何十本も、刺すように


体の中が痛いのです」


医者は、また首を傾げる


「なにか昨日刺されましたか」


首を振る妻


医者は、看護婦に、体温を聞いた後


「それで、それは、中が痛いんですか


皮膚が痛いんですか 内蔵とか」


妻は、「いえ、体中というわけではなく


一部 腕が痛いんです」


わたしは、そういわれ、先ほどの、腫れを思い出した


そうなるとやはり、蜂にでもおかしな事に、気づかずに刺されたのか


わたしは、多少の安堵にも似た


この場合の対処法のようなものを


考えていたが


医者が、腕まくりした


妻の腕を、見ているとき、小さな疑問が


わたしの中に、むくむくと、起きあがる


彼女の白い肌に、毛が見える


別段 薄くとも濃くともないが


其れは、まるで、髭が、上に延びるように


服から、押し上げるように


体内から延びるように


そこだけ何本も


皮膚を突き破るように立っている


なにかのけがで


その場所だけ


丘のように、わずかに、その部位は、はれており


見方によっては


とげでも刺さったような異質な腫れかたにも見えた


医者も、すぐに、その異様せいを、感じたようで


その部位を、さも興味深げに、見ている


「これはいつから」


医者の声に、妻は、首を最終的に、傾げるばかりだった。








「何という奇妙な事例であろう


わたしは、頭を抱える以外に行動を起こせずにいる


なぜだ


意味が分からない


なぜ、こんな事が起こるのだろう


わたしは、理由を、得れずにいる」




とある農婦の体内から、謎の物体が、皮膚を突き破るように


対外から、出ていた


其れは、肉体の変化と言うよりも


異物というに、ふさわしく


多少たりとも、炎症を、起こしており


その事例は、とげが、体内に残り


其れが、感染症を引き起こし


膿んだ症例に、酷似している


すぐに、検診すると


体内に、なにやら、柔らかいものが


彼女の皮膚越しに、確認できるが


其れが、何なのか、わたしには、理解できない


少なくとも、堅い異物ではなく


多少なりとも、流動するような、岩や枝


のようなものではないと


わたしは、思えた


すぐに、我々は、少量の麻酔を、施し


彼女の体内に、あるであろう


炎症を、引き起こしている


物体を、取り除くべく


メスにより、肌を、切開し


内部をのぞき


わたしは、膿となにやら極彩色の毛の固まりのようなものを、見て、驚愕する


何なのだろうか


わずかに、滴り始めた


血液の洞窟の中


其れは、潜むように


肉の中に埋もれ


細菌を、ばらまき


白血球の屍の中


そこに、鎮座し


窒息したように、その手足を、ゴムの皮膚を越えて


外部に、のばした痕跡


其れは明らかに、内部から、皮膚を、突き刺し


外部に出た物体


わたしは、その形を、良く知っているような気がしたが


すぐさま、わたしは、其れを、ピンセットで、取り除く


以外にも、肌から、其れは、するりと、何の抵抗もうけず


抜けると、肌と筋肉の洞窟から


一緒に抜き取ることが出来た


看護婦に、ガーゼで、血を拭わせ


わたしは、手早く、縫い物でもするように、綺麗に


肌を、接合すると


良く消毒させた


ここまでは、何不自由ないだろう


内部も良く消毒し


この毛虫の針が体内に残らないように


よくよくライトを当て


水やアルコールで血を洗い流し


確認し


抜き去った後


縫合した


後は、感染症にならないことを


膿まないことを祈るばかりだが


しかし、今回、その他の物事とは別に


この違和感のある物質が


どうして、彼女の体内に、存在したか


其れを持って、謎としなければならなくなった


一体これは、どう言った事故により


起こってしまった、事例なのか


まさか、寄生虫のように、体内で、毛虫が動くとは、とうてい思えない


大きさにして、二三センチ


その毛に覆われた肉体は、寄生虫の


おおよそが其れであるように


まるで、ヒルや蛞 ミミズのような


出来るだけ、接触が、少なく摩擦の無いような


形では、到底無い


どちらにしても、明日まで、待たなければなるまい


手術を終えて、安堵する患者を前に


わたしは、その毛虫を、溶液に入れて


瓶詰めにする


時刻は、まだ、夜の十時


悩むにはいささか長そうである












「z」


その患者は、眼球が、ひどく変球し


ほとんど、視力は、得られなかった


このままでは、周りにまで、悪影響を、及ぼしかねず


なおかつ、ほとんど


感染症の症状が、そこには、散見された


手術は、無事成功したが


果たして、どういった物だろうと


標本にするために、解剖したときに、わたしは、その異物に愕然とした


眼球を、半分に、切断したとき


内部に、あまり見慣れない


個体を、発見する


其れは、今までいくつもの


学術書 解剖 地検を、してきてもなお


このような物がある物を、わたしは、見たことがない


其れは、いってしまえば、まるで、ではなく


毛虫だった






「R」


体内に、痛みを感じた患者が、搬送される


其れは、破傷風にも似た症例であったが


しかし、未だ症状は、軽く


その原因となる部位を、診察した折りに


腕に、膨らみがあり


異物を、外部からも確認


すぐに、切開により


取り除くと


毛虫と、形容し出来るような物が


体内から摘出








「10」


赤ん坊の発熱を、理由に、診察に訪れた


妻から、赤子を受け取り


診察した折りに


わきの下に、なにやら、膨らみがあり


その部位は、変色している


そのことについて、妻に聞くが、首を傾げるばかりで


不明


軽く押すと


薄い皮膚から黄色い膿が、放出


すぐに、切開し


膿を、取り除く折りに


異物が現出


其れは、蛾の幼虫に、酷似していたが


それ以降 母親の診察は無し












「それで、容態は、どのようなものでしょうか」


昼頃診察に向かうと


あまり妻の様子は、芳しくなく


隣で夫が心配そうに、居た


「先生 実は」


わたしは、そこで、恐ろしい物を、目にする


なぜか、パジャマのズボンをめくる彼女のふくらはぎに、腫れ物のような


膨らみがあり


わたしは、いやな予感がしている


「其れは、以前から」


彼女は、首を、横に振る


患者の中には、無自覚である場合もあるが


しかし、どうであろうか


「ちょっと失礼します」


わたしは、そこで、昨日と、同じような感じを


そこで、受けることになる


どこかで


いや、人間は、そこまで、記憶を鮮明に覚えているわけではない


わたしは、もう一度


意味もなく確認すると


ますます、酷似しているような気がしてならない


「痛いですか」


うなずく彼女


我々は、彼女の全身を、もう一度、看護婦同居のもと


調べてもらったが


その結果、その場所だけが、膨らんでいた


すぐに、切ってみると


不可思議なのことに


そこにも、毛虫が居た


わたしは、すぐにその幼虫を


大学に送り


調べてもらうと同時に


彼女に、様々な事を聞いてみることにした


毛虫について なにか、覚えはないか


最近変わった事


以前同じようなことは、無かったか


ただ、その返答全てにおいて、彼女は、NOと


首を、横に振る


わたしは、其れを、三度経験した夜


学会と併せて


日本病例研究所に、向かうことに、した


そこで、古今東西


全ての診察された病例を、調べ


そこでわたしは、酷似した


三つの症例を、得


其れを元に、手紙を書いてみることにした


幸いにして、一通のみ


現段階で、最も最近であり


なおかつ、未だに、病院に勤めている藤堂という先生から回答を得れた


残りの行方については


未だに返答はない




「拝啓


お手紙ちょうだいいたしました


わたしも、不思議に思いまして


いろいろと調べておりますと


どうも、精神疾患のたぐいではないかと思い立ち


なおかつ


体内で、無機物ならまだしも


生物が、生まれるとは


到底思えません


其れは、寄生虫や、菌の類ではなく


明らかに、地上の


其れも、体内に存在するサイクルを持ち得ない生物が


体内に潜るとは到底考えられず


わたしは、試しに、患者の腕に、厚いギブスを、装着したのです


すると、今まで、何度も、体内に、入り込むように


存在していた


あの毛虫という存在は、不思議と


自然発生せず


其れは、病気により


生成された異物


もしくは、昆虫が、体内に、入り込んだという事ではないと、そう思いましたが


ただ、其れは、実験開始から


一ヶ月ほどしたところです。


実験は、その間に、五回行われ


全てにおいて、毛虫の発生は、否定され続けましたが


しかし、最後の一回において、患者の


ギブスを、割った際に


毛虫が、潜んでいるような


膨らみを、わたしは、そのギブスの中から


見たのでした


すぐさま、手術することも、やぶさかではなかった


今までの状態でしたが


しかし、今回に限りましては、


その様態を、事細やかに、調べる必要性を持って


入院を、して頂いていましたから


それにつきまして、入念に、当院で、調べましたところ


どうも、腕にひっかき傷のような物が、見え


なおかつ


其れは、どうも、その膨らみの先端


つまりは、ギブスに隠れた


毛虫生え病とでも言うべきような


この現象の症状の確認をするためのギブスの無い部分より一本にひっかき傷のように延び


其れは、膨らみに、トンネルに、続く道のように


続いていたのであります


わたしは、この時点で


薄々、怪しいと思っていた


今症例を、実験を持ち


患者が、仕事をせず


入院したいがための



と談じられるのではないかとそう考え


ましたが、


幾分


突拍子もない、この症例において


誰かが、どうこうするとも考えにくく


精神病の症例の一つとして、あげておく方が、特作


かと、そう思うわけであります。


貴殿も、同じような、実験をしてみれば


其れは、納得の行く実験かと思います


人は時に、想像もつかない


自分とは別の思惑により


動くものかと思います


其れをふまえて、考えてみるのが、良いのではないでしょうか


田辺直木」




わたしは、困惑の内に、その紙を、破り捨てたくなった


なんと、非常で、薄情な、文章であろうか


困っている人間を前に


それを、精神病などと言う物へと


まとめるとは


現に、実例は、今件を、のぞいても


二件


本件を含めれば、三件


世の中には、珍しい奇病という物があるが


しかし、其れは、世間に、散見する


奇形と同様


いや、病名とは、名ばかりで、其れは、遺伝子的


特徴故、数少なく


そして、治療のしようがないことが、ほとんどだ


其れは、遺伝子の螺旋図を


いじくるに


等しく


一介の医師は、治療法を知らなくては


どうしようもない薬剤師に近い


その症例を知っても、未だに治せない物も多いが


しかし、その数が、国で、二、三件と、なれば、


それに、治療という莫大な、金のかかる


投薬に、手を回す薬品会社は


存在しない


故に、まずは、其れ以前


この症例を、本物の病気として


仮病ではなく


存在しうる


病気として、認めさせなければならない


そのためには、其れが、なんたるか


その他とは、明らかに違う


物的証拠が、必要である


わたしは、頭をかきながら


廊下に、でると、歩く


病室まで、わたしは、頭を、ひねりながら


歩く


助けなければならない


誰が否定しようとも






まか不思議な現象だ


わたしは、どうしようもない


幻覚を、見ているような気がしてならないのである


昨日切開した


傷口を、丁寧に、消毒し


其れを、観察したのであるが


其れは、実に、奇妙キテレツ


妙な内容であった


傷口を、三十分ごとに


観察すると


驚くべき事に、その肌の表面に


毛のゴミのような物が


わずかに、浮かび始めた


其れは、実験の開始一時間後のことである


其れは、徐々に、数を増やし


肌が、徐々に形成されるなか


その細胞の中に


入り込むように


其れは、その内部で、一緒に


包まれるように


膨らみ


そして、三日後には、膿が、出るように膨らんでいった


そして、さらに、現状として


尿検査 大便検査


により


その一部に、毛虫と思われる


毛の繊維が発見され


其れは、唾液にまで及んだ


どういう事だろうか


まさか、彼女の体内で、本当に毛虫が、生成


されるなんて事が


わたしは、半信半疑だが


しかし、毎日、つらそうにしている患者を前に


わたしは、頭をひねらずにはいられなかった


ある程度の資料をそろえ


わたしは、学会に、その病名を


「毛虫育成病」として


発表しようとした


この毛虫の種類も


大学に頼み


調べてみると「チャドクガ」


であると、断定された


一応 遺伝子も調べてもらったが


それに間違いないという


彼女に、其れについて、聞いてみると


昔 蚕を、家でやっているとき


蚕の餌の桑の葉を、畑に集めている際に


その木に、びっしりと毛虫がおり


其れが、手に張り付いて


痛かった


という話は聞けたが


其れが、これに関係するものかどうかは、分からない


わたしは、どちらにしても


ほかに、このような症例が、あったかどうかを、聞く意味をかねて


其れを、発表してみたが


しかし、結果は、散々たる物で


私は、言葉を、ほとんど発する事も出来ず


ただ「そんな物は、存在しない」


と、一括され


その話を、流されてしまった


本当に、無いのだろうか


しかし、そんなはずはない


患者は、どうして、あれほど、苦しんでいるのか


体内に、わざわざ、毛虫を、突き刺すなど


そんなことを、する意味が分からない


治療するならまだしも


そんなことが




治療とは、名ばかりに


毛虫の死骸ばかりが増えていく


毎日毎日毎日毎日


私は、毛虫を、切り口から、取り


ガーゼを、巻く


その時には、いちいち


縫合する必要性を、失い


自然治癒に、任せた方が、早いほどに


切り方、摘出にたけていた


ただ、病気が、収まることはなく


其れは、一種 やはり、と思わずにはいられなかった


そんな折りに、恩師に、毎年会う会合が、あり


私は、資料を引っ提げて


おんとし八十五になる


冷沢先生元に、訪れた


ほかにも、その会合には、ざまざまな


教え子が、集まり


一つの一派として、親睦会を、するのが、習わしになっていた


私は、先生にあると、挨拶も程々に


分厚い資料を、先生に渡すも


最初の二三ページを、軽く見るにとどめ


先生は、其れを、私に帰した


「君は、科学者の一員であれば


世迷い言ではなく


現実を見なさい


蛾が、体内に、発生するなどあり得ない」


私は、紙を引っ込めた


会合が終わり


私は、病室を、歩く


この研究を、やめるべきであろうか


しかし、私は、興味が、尽きずにいた


これは、本当に、合ったら


面白いのでは無かろうか


今まで、このよになった病名が


存在するとしたら


いや、治療のため


自分の部屋


瓶の中には、乾燥した大量の毛虫が詰まり


その違和感を、教えている


「本当に、あるのだろうか」


三年の月日がたち


私は、様々な大学に、この患者の観察を依頼するも


芳しい答えはもらえなかった折り


私は、一通の手紙を受け取った




「つまりですね、大阪の大学病院が、あなたの症状を、確かめていただけると


そういうお話が、あります


私は、是非、其れが、このあなたを苦しめる


この毛虫の体内に生まれる病気を


そこで、実際に、目の当たりにさせ


其れが、嘘ではなく 本当に


それこそ、苦しんでいるという


そう言う現象を、認めさせるために


是非、行っていただきたい」


彼女の目は、田舎物にある


都会への嫌悪


いや、この場所を離れることの恐怖を、伺わせた


しかし、一月の説得の後に


彼女は、大阪に、向かうことになった




「拝啓


早速、我々は、彼女を、隔離し


体内から毛虫を取り除いた部位を


すぐに、ギブスにより


固定


その後に


我々は、尿検査を、実施


その結果は、確かに、繊維確認


其れは、動物性の昆虫の物であると


結果を得られました


我々は、彼女を、x線に、かけ


その体を、観察したところ


彼女の体内に


棒状のながいものがあり


其れを、検査後に、体内から摘出


それは、銀色の毛虫のはいった・・・・」










「我々は、即刻調査を、打ち切り


この患者を、あなたの病院に、送ります


今回の実験が、芳しくなかった事に、誠に


残念に、思えます」




「ぎんいろの毛虫の入った小さな管が、発見される」






薄暗い道


彼女の病状は


それから、徐々に回復し


最後には、毛虫の発生


及び、排泄物に、繊維は、見られなくなっていく


それは、回復と


病理を、確定するまえに


それは、消えようとしていた


おおよそ、十年の年月が経過している


私は、暗い道を歩く


彼女は、病院を、去った


退院である


完全に、彼女は、毛虫を、体内に、生み出すことは、無くなっていた


彼女は、病院の白い箱から、出て行ったのだ


暗い道


トンネルが続く


小さな道


私は、その中


道鏡のミラーの横


その中に、厚いコートを、着込み


帽子をかぶり


入り込む


体が、どうも疼く


暗やみの中


私は、一人


「ククク」と笑っていた


どうも、股が腫れているようにひきつっている気がする。


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毛虫病 イタチ @zzed9

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