急展開

数日後、その時は突然来たのだ。突如警報が鳴つたかと思うと何者かが突然校内に入ってきた。

2時間目先生は外出中で魔界の勉強課題をしていた最中だった。2人も抵抗したが敢え無く撃沈し、気絶させられると連れの者に連れて行かれた。

真莉も何者かに押さえつけられ恐怖に襲われていた。

「音?」

正体不明の者がそう言う。真莉はすぐに気づがなかったが、刹那に教室のドアが開き誰かが入ってくる。


「・・・先生」

緊張から息が上がった真莉は弱々しい声で微かにでた希望に救いを求める声を出す。


先生は周りを見渡すが生徒が消えていることに気づく。


そして、眼の前には魔女の様な風貌な者と御金真莉が居るのをみるや否やすぐさま状況を理解したかのように魔女に問を投げる。


「生徒は何処だ?」

先生は冷静な口調だ。


「ハッハッ!状況が掴めてないの?」

あざ笑う声にも先生は眉一つ動かさない。


「何処だ」

「私は知らない、でも殺されたんじゃない」


「そうか」

そう言った刹那先生は其の場から物音を立てず消えた。


(何処?)


魔女が影を通して違和感に気づき真上を見上げた瞬間には先生が天井から手を前にして振り降りる途中であった。


(速いわね)


しかし、あろうことにか魔女は杖をだし、詠唱なしで呪文を繰り出す。すると、教室の様相がガラリと代わり、アンデットの様なものが湧き出てきた。


「グラインデッド、どうかしら」

異型な骸骨の形をしたアンデットが無数に湧き出る。アンデットは翼竜、獣脚類、肉食動物などの頭、体が互いにくっついた体をしていて、まるで鵺のようだ。

アンデットは川の激流に押し出されるごとく襲い掛かる。しかし、先生は腕を匠に操り、攻撃を受け流し打撃を繰り出す。その速さは凄まじく、激流に流れる障害をみるみる内に粉砕していく。


「な!」

これには魔女も少し同様した様子をみせた。それもつかの間に先生は地面に足を踏ん張り陸上のクラウチングスタートのごとくスタートを切り、剥き出しになった魔女目掛けて突進していく。


しかし、その途中先生は自由を失った。

「で、どうなるかな」

魔女は先生を嘲け笑い、顔を覗き込むようにしてみる。


「私は君に裏の顔を出させる呪文を使ったんよ。」

「くっ」

先程、までの冷静な先生の顔が少しひきったように見える。

「さっ、この少女をいたぶるといいんよ。」


「遠山先生・・・」

真莉が少し怯えた表情を見せる。


なぜなら凄まじい形相で先生が眼前まで迫ってきたからである。


「君の涙に乾杯」

真莉は頬に垂れる雫を吸われる。

先生は良く私のことを普段からじっと物思いにふける様に見ていたのだけどまさか・・・


真莉は不安で心が潰れそうであった。

「生きたいよ。もっと、未来が見たいよ」


弱々しい悲痛な声が教室に伝わる。

「これは、これは凄いね」

流石の魔女もこれは想定していなかったようで余りの光景に笑う。


魔女は次にピストルらしきものを生成し、それを先生の元へと床を滑らせた。


不敵な笑みとともに魔女は言う。

「さぁ、今貴方の膝下にある。それを使いなさい。」

先生は操られていてか抵抗する素振りを見せずすぐにその拳銃を手に取る。

「さぁ、どうするかな?」

「うぅ」

真莉は押さえつけられながら必死に抵抗する。

「皆ともっと一緒に居たいよ」

真莉の悲痛の叫びにも応えず、先生は引金を引く。

しかし、先生の様子が一変した。頭を突然左右上下に降り出したのだ。

「 運命なんてものは偶然の産物に過ぎないんだ。・・・故に俺の心は二分する。」

?

その言葉に魔女はキョトンとした表情をしていた。

「何を言ってるの?」

先生は魔女の言葉を返さず、自問自答するように語る。

「そうでいたいと思ったのだから、子供の時にそう有りたいと思ったのだから、今この僕がそうでいないなんてことを知ったら子供の僕は悲しむだろうな。

自分が目指した道だ、変わるのは大いに構わない。だけど、なりたい自分を偽ってまで、それを否定してまで、自分を変えてしまうのは悲しいことだと思う。

だから、僕は過去を投影する。

目をつぶってご覧、そして、子供の時を思い浮かべるんだ。昼寝をしている時間、遊んでいる時間、泣いている時間、なんでもいい、そして、その時思ったことを想像してご覧、例えば、合唱の際にミスをして先生に叱られて、泣いてクジラのことを想像していた。なんてマニアックなことでもいい。大事なのはその時何を思い、どう行動したのか、そんなことを考えると今の気持ちも少し気分も変わるんじゃないかな。最後に子供の時の自分と今とを重ねてご覧。別に子供の時を過大評価してる訳じゃないよ。ただ、気持ちを忘れてほしくないんだ。

もし、重ねた過去と今を比べたとき過去の方の気持ちが好きだったらそれを今の気持ちにしたらいい。 


子供の君を今の君の人生に加えてほしい。


心は一つじゃなくたっていいんだ。

たとえ、どんだけ年を重ねてお爺ちゃん、お婆ちゃんになっても同じさ。

だってかっこいいだろう。自分の子供の時の気持ちを貫き通す人生てのは。


だから今一度言おう。誰がなんといをうと言おう。


故にオレの心は2分する。」


呪われたかの様に自答していた先生は突然故にの途中から目力を強め、次の瞬間には生徒たちの所に瞬間移動し、ハリワンとルクスタを連れて行った者が気づかない程に速く背中に黄色をした輪っか状の術式を付けたのだ。

「ハァッ」


そして、甲高い言葉と共に消えたのである。


「まさか、私の術を解いて逃げるとはね、まぁいいわ。」

魔女は何か感じることはあったのか少し物思いにふけっていたが、杖を床に立たせ術式をだし、アンデットの軍勢を送りだした。


その頃、夜風が冷たく、草木が揺れる森林に先生達は逃げていた。


生徒たちが眠るなか、一人食事を作っている。


「起きたか」

「先生、ここは?」


「森林だよ。何の変哲もないね。」

心なしか先生口調が優しくなった気がする。


真莉も目を覚ました。

「 ヒッ!」

「真莉は体を震わせる、怯えながら先生を見ていた。」


「どうしたんだ?」

2人は気絶していたので真莉の表情に疑問をもつ。


先生は木の皿に食材を入れなが、少し小さい声で先生は

「 すまない」

と小さく呟いた。

 

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