迫る敵
軍港跡地の跡地の様な廃墟に一行はやってきた。生徒は皆不安から少しピリついている。
「先生ここは」
「あぁ、確かここだった筈」
高低差の低い階段を登ると土とコンクリートで出来た遺跡があった。かなり長い間使われていた形跡が無く草がぼうぼうに生え、コンクリには苔も付着するなど風化も進んでいる。
岩石に埋もれた所を手で拭い取ると文字が浮かび上がる。
"チームミネグラ"
「なんですか、これ?」
「昔、俺たちが使っていた防衛基地だ。」
「防衛基地?」
「結局、使わなかったんだが」
「まぁ、ここならひとまず安全だろう」
所々壊れかかっているがまだ外観はしっかりとしている。でも入る所など見つからない。
「こっちだ」
一行は岩でできたドアの様な装いの所に居た。そこの周りにはレンガの壁があり西洋風な雰囲気も伝わってくる。
先生の片手が扉に縁取られたドラゴンの様な紋様に触れてしばらくすると縁に沿って水色のに光る液体の様なものが流れ出し始め、次第にドラゴン全体を青い光の液体が行き渡り姿を浮かび上がらせる。そして、風化していた岩が落ちダイヤの様なドアが姿を見せる。
「一体」
それもつかの間、その光は闇に静まり返った一行の姿を照らした。次の瞬間だ。ドラゴンから青い液体が滴り落ちるではないか。そして、地面にも液体が浸透し、一行の周りを照らした。
ザーーーー
この音とともに一行の居た台座が20cm程上に上がると何もなかったはずの土から枯木が次々と蛇のように伸び始めた。そして、ドアが上に上がったかと思ったら、地面の揺れとともに城の様なものが出現し、先程までの扉が上で看板の様な役割を果たし、一行の前には新しいドアが出現した。まるでお伽噺の様な光景に生徒は驚きを隠せないようだ。
カッカッーーー
メキメキとしなる音と共に扉が開いた。そして、同時に強風が一行に直撃した。
「うう、サミいー」
風が落ち着き寒がっていたハリワンが目を前にやるが真っ暗で何も見えない。
「ん」
「これは?」
ルクスタの疑問に答える様に手前側から光がつきだした。中には特にこれといった飾りはなく簡素な作りとなっている。
「迷宮みたいですね」
「そうだ。戦いに備えて迷宮の様に作れている」
「へぇー」
「いつ使ってたんだ」
「10年も前だったか」
「14年前!じゃー先生子供か」
「まぁ、そうなるか」
中に入っていくと一行の後ろから青光りが迫ってきた。さっき先生が触れた時のと同じだ。青い光は迷宮の縁に出ているパイプの様な突起に沿って流れていく。赤い炎と青い光に照らされる迷宮は何とも神秘的な様相のに移り変わった。
「きれい!」
小声で真莉が呟く。
「好きなのか」
ハリワンは歩きつつ真莉を横目で見る。しかし、真莉は先程から弱りきった様子で手を体に当てて手を振らずに歩いていた。
「・・・うん」
「ふううん」
暫く迷宮を歩くと先生の足が突然止まった。
「うわ」
「痛、ごめんな・・ひっ」
真莉は怯えながら謝る。
先生が扉を開けるとそこにはちょっとした部屋があった。中には何やら色々な道具があった。
「武器庫?」
「まぁ、そんなとこだ。皆好きなものを持っていくと良い」
「ウァ、ラッキー」
青光りで照らされた中で皆は装備などを装着していく。
「まぁ、こんなとこか」
全員選び終わった。皆は暫く黙って休んでいた。なぜなら誰しもが口に出さずともまた襲撃が来ることが分かっていたからだ。
「来たか。」
先生がそう云うと一行は外へとでた。
その時はやってきた。軍勢にしておよそ1000万もの大群が押し寄せてきたのだ。
「総攻撃かよ。こっちとら4人だぜ。」
「他の人達はどうなったんでしょう。」
「恐らく、もう・・、周囲を警戒しておきなさい」
「これ、多すぎね、無理だろ」
防御壁は固くまだ攻撃には耐えている。
「まだ、大丈夫さ」
先生はまだ険しい顔をしていない。しかし、防御壁にヒビが入り、ビームやらの攻撃が飛んできた。
「ひゃ」
「ウァ」
その時だ、地底や壁から白い光のビームが飛び出してきた。そして、攻撃を撃ち落としていくではないか。
これは、対攻撃撃墜のための術式魔法。エンデントと呼ばれるものだ。夜空に幾多の攻撃のぶつかり合いが生じ、火花が辺り一面に飛び散る。
「これは無限の術式、攻撃物が迫った段階で発動する。」
不安そうな生徒に先生は生徒の方を見ず、夜空にぶつかり合う幾多の衝突を見ながら一言をかける。
「大丈夫さ」
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