微かな揺らぎ
早朝の作業。
小型耕運機で土を耕すかなたの父親。
自家製紫蘇ドリンクをコップに用意して、かなたは外へ。
「お父さーん、ここに置いとくから、飲んでねー!」
「おーありがとう!」
畑の外側にある木箱の上にコップを置いた。
まだ太陽が山に隠れているとはいえ熱が肌に纏う。
ラジオ体操カードを手に眠たそうに歩く小学生の妹たち。
「今からラジオ体操?」
「うーん……朝ご飯もまだなのにさー」
「こらこら、ちゃんと行けばなにかご褒美貰えるんだから行きなよ」
呆れるかなたにブーブーと愚痴を漏らす妹と弟。
「おはよー」
後ろからやってきたのはハジメの妹。
「おはよう」
「あ、かなたちゃんこの前兄貴の面倒みてくれてありがとうね」
傾げてしまう。
「面倒って?」
「私達が旅行に行ってる間にご飯とか用意してくれてたんでしょー兄貴ってばいつも甘えちゃってさぁ、ごめんね」
「え……あ、あぁーそうだっけ、いつものことだから……うん」
微かに苦い表情を浮かべた。
「ホントだらしないし、変な事ばっかやってさぁ、かなたちゃんしか面倒見れる人がいないから本当にありがとうございます」
冗談も込めた丁寧なお辞儀のあと、ラジオ体操へと駆けていく――。
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