沈黙の代償
「…………」
「ひゅうちゃん大丈夫?」
心配する声に、ひゅうちゃんは頷く。
かなたに手当てをしてもらい、2人は顔中に絆創膏やガーゼが貼られている。
「この前いたタケル先輩だよね? 許せない、なんでどうしてこんなことを……」
怒っているかなたにハジメは大人しく頷く。
「………………」
「ひゅうちゃん? 具合、悪い?」
「ううん……平気。でも、ちょっと休みたいから、帰るね。ありがとう……かなたちゃん、ハジメ君」
足取り重く家に帰る。
まだ誰も帰ってきていない。
洗面台に向かい、鏡を見つめる。
殴られた頬は内出血を起こし、紫色が広がっている。
砂利に倒れた際にできてしまった擦過傷と小さく捲れた皮膚を隠すガーゼ。
シャツには靴底の跡がついている。
「…………私」
俯いてしまう。
怒りの感情が湧かず、黙って痛みを受け入れていく――。
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