交通事故
深夜、ラジオから流れる2人のパーソナリティがテンポよく話す声。
中型トラックが田舎町近くの大きな3車線を走る。
運転手は時々欠伸をしながら、横目で家族写真を覗く。
男子小学生とロングヘアの女性の明るい笑顔。
運転手は小さく笑みの息をつき、よし、と呟いた。
ハンドルをしっかり握り締めて、前方を見た瞬間。
黒い影が道路を横切るように動いたのが見え、呻きながら強くブレーキを踏み込む。
重たく跳ねる音が響いた。
呼吸を乱す。
汗が湧き水のように溢れ出て、顔が青ざめていく。
路肩にハザードを点灯させて停車し、運転手は恐る恐る降りた。
スマホのライトで周囲を照らす。
眩しい白が照らす場所には赤の溜まり。
人の指先が微かに映る。
運転手は呼吸を忘れてしまう……――瞬間、茂みを分け歩く音が聞こえ、振り返って照らした。
誰もいない。
運転手は微かな鳴き声を漏らし、道路に転がる血まみれの人を前に、膝から崩れ落ちた……――。
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