変わってしまった2人
セミが鳴る田舎町。
ガラクタ置き場の中をゆっくり歩き、家に帰る道を2人が歩く。
土で汚れた服と切れた唇、ひゅうちゃんは腫らした目を地面に向けた。
「ひゅうちゃん」
ハジメは優しく声をかける。
「……ずっと気になってたことがあるんだ」
ひゅうちゃんは黙り込んだ。
「平八さんが事故で亡くなってからさ、2人とも変わっちゃったなって」
微かに遠く畑に水やりをしているかなたが見えた。
「あんなに消極的だったかなたちゃんが明るくなって、ひゅうちゃんは反対にほとんど何も喋らなくなって、性格を交換したみたいに」
「…………」
「平八さんと、何かあったの?」
「なにも…………」
汗が額から流れる。
喉を震わす。
「おーい、ひゅうちゃーん、ハジメくーん!」
水やり途中のかなたが大きく手を振っている。
「ごめん、言いたくないならいいよ。ただ、心配で……もし言えるようになったら教えて」
ハジメは先に駆け出していく。
かなたは近づいてきた怪我だらけの顔に驚いている。
ひゅうちゃんは立ち止まり、指先で額の汗を拭う。
「ごめんね……かなたちゃん…………平八さん、ごめんなさい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。