宝探し

 田舎町の裏側にあるガラクタ置き場。

 古いブラウン管テレビと廃車、何が入っているのか分からない箱。

 瓶が積まれたカゴ、使われなくなった家電製品が放置されている。

 ハジメは腕を組み、うん、と頷く。


「ここで何かやってたんだよ。俺はあっち探すから、ひゅうちゃんは反対ね」

「何を探せば、いいの? 埋蔵金なんて、そんなの」

「ひゅうちゃん」


 ハジメは優しい笑顔を浮かべる。


「ちょっとした息抜きだからさ、面白そうなもの見つけたらスマホで撮ってかなたちゃんに見せよう」

「……うん、まぁ、分かった」

「よし、じゃあ一旦解散!」


 ガラクタの山を探る。

 廃車の中、箱の中を覗き、奥まで探していると、分解された単車の部品が散乱していることに気付く。

 ぐしゃぐしゃの前輪は空気が抜け、フレームが捻じ曲がっている。

 フロントのカゴも歪み、ウィンカーは割れて破片が散らばる。

 錆びついた赤茶の部分には、さらに濃い黒に近い赤がべったりと付着。

 ひゅうちゃんは青ざめ、口元を押さえた。

 悪夢が刻み込まれた脳裏に過る映像に、喉を震わす。


 一歩、後ろに下がる。

 背中が硬い何かとぶつかった。

 ゆっくり振り返ると……羨望か猜疑心に塗り固められた目つきをしたタケルが見下ろしていた。

 鬼のような表情で、眉間に皺を寄せている。

 声を出す暇もなく口を塞がれたひゅうちゃん。

 ガラクタの壁に押し込まれてしまう……――。

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