26 明けの明星

 目が覚めると、ここはどこ?って思うことない? 夜明け前なら尚更に。


 王宮の客室のベッド。

 オニキスの家のどこか。

 テントの絨毯と毛布。

 モーテルのベッド。


 真っ暗だと、隣にオニキスが居るんじゃないかと思って、手をのばすけど、壁。壁に横付けして置かれたベッドの中に居た。ここは王宮だ。


 窓の外は暗い空。星が輝いてる。天の高みに居て、見上げられて、昼間はどうしているの? 光の中に紛れても、ちゃんと居るんだよね?


 目が覚めてしまった。もう土曜になっている。週末は何をしていいか、よくわからない。


 オニキスと居た時は、週末が好きだった。オニキスが仕事休みだから。僕も勉強休み。二人で何しよう?って。何もしなくてもいいの。お母さんもお父さんも家に居た日を思い出す。記憶が、僕の心を照らしてくれる。


 アーバンに居るのに、随分遠くまで来てしまった気がしているよ。僕は……もっと先へは行ける? 行ってみたいんだ…………行こう!





 オニキスが夜中に出て行くのも、僕の目が開かなかったのも、わかってたんだ。

 オニキス、僕の心の中にも居てね?

 僕は王様を落として、騎士になるよ。なってみせるから。

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