18 マリアナ・マウンテン

 インテグレイティア。

 拡張国土の大半は、草原で構成されている。草原の中にはサンド・オセアノーと呼ばれる砂漠が生成され、岩石、れき、砂、涸れ川、塩湖などがある。





 小惑星群の衝突衝撃が起因とされる最大の海底隆起は、北緯11度21分、東経142度12分、で起きた。


 







 インテグレイティアの南にはマリアナ山がある。

 マリアナの標高は周辺のプレートテクニクスにより年々高くなっており、山頂も北東へと移動していると考えられている。


 山頂では風化が激しく、地殻変動によって一時的に11000mを超えても、その分は侵食されてしまう為、マリアナの標高はこれ以上高くならないという説もある。





 裾野には、マリアナ山から流れるナイアス川が悠々と水をたたえている。ナイアス川はサンド・オセアノーで途切れているように見えるが、川自体は地下河川として存在しており、草原では地上を流れている。









 大雨の中、水中を泳ぐように龍が空を飛んでいる。ナイアス川沿いに、マリアナ山へ向かっているのだ。


 雨粒が、龍の暗い金色のたてがみに、白く輝く鱗の胴に、叩きつけられる。


 マリアナ山、中腹。

 いまだ人目にふれていない洞窟に、ヒルコは居た。


 ヒルコは雨に濡れた身体が乾くと、雨風の入り込まない奥で眠りについた。


 雨空を飛ぶのは、とても疲れた。龍になると、身体が6メートルほどになる。全身をうねるようにするだけで推進力が得られる。常夜島とこよのしまを出る時に、目覚めたのだ。海の水や天の水、雨の日には、空を飛び翔けることができる。

 地を這いずっていた時には、身の内にある力に気付きもしなかった。

 常世におられる神の恩恵は、ヒルコにとって生命そのものに等しかった。





 国主の力となるには、どうすればいいのだろう……





 ヒルコは助言に思いを巡らせ、雨と風の音を聴きながら、夢の中へ落ちて行った。









※参考、引用。


「マリアナ海溝」ウィキペディア


「エベレスト」ウィキペディア

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