第22話 捨て活をはりきるケントさん

さて、年が明けたと思いきや、早くも3月ですね・・・


ユリナさんのお宅でも、年末年始はあれこれ捨て作業に取り組んでおりました。


マリちゃんがお片付けのために山と積み上げた絵本は、他にも洋服、雑貨、あれこれ引き取ってくれるリサイクルショップへ持ち込みをしました。


それはそれは大量でした。まあ、持ち込んでも二束三文ではありますが、単純に捨てるよりは心が痛まないというものです。いくらかエコな気もしますしね。


お兄ちゃんのケントさんはあれこれ捨てるのを頑張っていました。日頃からユリナさんは捨て活のYoutubeを観まくって励みにしていましたが、うっかり一緒に観ていたケントさんも洗脳されていました。とりあえず、捨てて捨てて捨てまくれば運気が上がって良いことがあるらしいのです。


話は変わりますが、北海道の子ども、冬は学校でスキー授業があります。(スケートの地域もあります)これが厄介で、親は成長する子どものスキー板やウェアを準備しなければなりません。子どもはすぐにサイズが変わるので、毎年、または1年おきなど準備が大変なんですよね~・・・


授業でスキーへ行くのは1シーズン2回程度で、学校の授業のみでは滑れるようにならないと、真面目な親御さんですと家庭でスキーへ連れて行ったり、子どもをスキー教室へ通わせたりします。ユリナさんはスキーができないので、そんな気力は皆無ですが・・・


それで、何の話だったかと言うと、ユリナさんのお家にはサイズが小さくなって使わなくなったスキー板やスキーブーツが複数、ケントさんのお部屋の押し入れに眠っていました。


これは、格好の捨て活材料ですよね!早く処分しましょうよ、ユリナさん。


年末であれこれ捨てるものをまとめ、年明けにユリナさん達はリサイクルショップへ出向きました。皆さん考えることは同じなのか、リサイクルショップは大にぎわいで、買い取り査定はずいぶん時間がかかりました。


でも、日頃から本や服などを持ち込んでも二束三文、せいぜいウン百円にしかならないのが、その日はスキーセットを3組ほど持ち込み、買い取り額は6000円弱になりました。


リサイクルショップで1000円単位で買い取ってもらえたことはなかったので、ユリナさんは驚きました。あ~~、捨て活して良かった✨


ユリナさんは売れたお金をシンちゃんに渡そうとしましたが、シンちゃんはユリナさんにくれると言います。そんな時、ユリナさんはシンちゃんへチュッチュッチュッ・・・💛としなければならないところですが、お店の中なのでしそびれました。


それもこれも、やっぱり捨て活効果かしら??臨時収入に気を良くしたユリナさんは、売上金をケントさんとマリちゃんへ1000円ずつ、お小遣いとして渡しました。おカネは循環させるべきですよね💛お子さま達も臨時収入にホクホクです♬


さて、この時お子さん達へ渡した1000円が、特にケントさんにはものすごい効力を発揮しました。帰ってからもケントさんは、猛烈な勢いで捨て活を始めたのです。


「捨てる→臨時収入や良いことがある」という捨て活効果現象がケントさんにインストールされたのです。


以来、捨て活リーダーはケントさんになりました。それまではユリナさんが時おり頑張っていましたが、ケントさんがわしわしやり出すのを目の当たりにし、オートモードへ突入です。自分でやらずとも、勝手に捨て活が繰り広げられるのです。


ユリナさんにとってはこの現象こそが、臨時収入よりも何よりも、一番のご褒美のように感じられました。


そうしてユリナさん達は、その後も不用品を処分するため何度もリサイクルショップへ出向くようになりました。(つづく)

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