第15話 ケントさんのお気に入りアーティスト

「ねぇおかあさん、おかあさんはデーモン閣下好き?」


ある日、息子であるケントさんから尋ねられたユリナさん。


「ああ、歌うまいよね。」


でも好きかっていうとどうかな~・・・とユリナさんは考えました。ユリナさんはハイド様を崇めていますから、ちょっと方向性が違いますよね。


「おかあさんはデーモン閣下好き?」


2回聞いてくるよ・・・スキって言った方がいいの?言わなきゃダメな感じ?とユリナさんはモヤモヤしました。


「ああ、歌うまいね・・・好きかって言うとちょっとわかんないけど・・・」


ほんとわかんない・・・スキでもキライでもないけど・・・難しいこと聞くなぁ・・・とひそかに悩むユリナさん。


「他の人の歌も、デーモン閣下が歌うといいよね。」


いろんなアーティストの有名曲をカバーで歌う閣下を観ているケントさん、彼のイチオシはデーモン閣下なのですね。


「そうね・・・」


いまやユーチューブや動画サービスで古いアニメもドラマも観られるし、クルマではシンちゃん編集の古い音楽映像ばっかり見てるから今風のものがわからない子になっているケントさん・・・


デーモン閣下かぁ・・・ケントさん、同年代の子達とは話が合わなそうだなぁ・・・


そうじゃなくてもケントさんは周囲と合わない傾向があります。ユリナさんとしては、日頃から彼のオッサン的傾向や右翼っぽい言動がアレだなぁと思っています。


ちなみに他には「米米CLUB」がお気に召したケントさん。よくユーチューブで観ています。何十年前・・・?昭和ですか?


いいよね、古いけどイイねとユリナさんも同感です。でももうちょっとヤングな感じの・・・チェックしなくていいの?とも思います。


そんなユリナさんの思いとは裏腹に、ケントさんはかの大物ミュージシャン、「安全地帯」の存在に気付いてしまいました。シンちゃんがNHKで放映されたライブ番組を録画していたのです。


確かに、神ですよね・・・シンちゃんもユリナさんも安全地帯はスキです。北海道出身ですし。


最近はすっかり安全地帯のとりことなり、毎日ユーチューブを鑑賞するケントさん。昭和を攻めすぎですよね?


さてそんな折、ケントさんから意外な発言が。


「友達はみんな安全地帯を知らなかった。」


・・・えっっ??友達いたの!?


ユリナさんが意外に思ったポイントは、友達なる方が安全地帯を知らないことではありません。ヤングな人々は知らなくても当然です。


なので、ケントさんにそんな話題を振れるご友人がいるらしき発言にユリナさんは反応したわけです。


みんな?そんなに友達いたの???


「友達って、何人に聞いたの?」


つい突っ込んでしまうユリナさん。ケントさんのご友人事情、気になって仕方ありません。ケントさんは教えてくれました。


「えーと、ふたりぐらい。」


ふたり?? 「みんな=ふたり」??


いや、上出来~~!!✨✨✨


いったいその2名が誰くんなのか皆目見当はつかないものの、ケントさんいわく、友達がいるらしきことがわかって嬉しく思うユリナさんでした。

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