第10話 忘れ物をしがちなユリナさん
ある週末、所用のためにシンちゃん一家は地方へ出向きました。日帰り温泉にも行くんですよね。
温泉はスキだけど、行くときの準備がね~・・・っていうか、どうして私がみんなの分も準備しなくちゃなのかしら?
ユリナさんは日頃からそう思っていますが、お子さんの分を準備するのは仕方ないですし、シンちゃんの分もついでですね。そうは言っても、旅行というほどではないものの、日帰り温泉へ行くにはあれこれ持っていくものがあるんですよね。こんな感じです。
・バスタオル、タオル
・替えの下着(パンツ、シャツ等)、くつ下
・着替え(Tシャツ、カーディガンなど。替えのズボンはなくてもいいかな~)
・洗濯ものを入れるビニール袋
・シャンプー、コンディショナー、ボディソープ
(たいてい備えつけですが、たまにない場合もあるので一応持っていきます)
・シンちゃんとケントさん用ボディータオル(ユリナさんとマリちゃんはなくても良い派)
これらを、自分の分だけならまだしも、家族4名分です。ユリナさん、準備しているうちに、たいてい何かを忘れそうになります。
上記のものを入れるバッグは2つで、シンちゃん、ケントさんの分でひとつのバッグ(男湯)、もう一つはユリナさんとマリちゃんの分(女湯)です。
今回、シンちゃん達のバッグにはシャンプー類と小さめのタオルが2枚入っていました。でもボディータオルを忘れそうになりました。
さらに、ユリナさんとマリちゃんのバッグを準備していたら、小さいタオルが入っていなくて忘れそうになりました。さらに、家族の下着と着替えを準備していたら、ユリナさんは自分の着替えを忘れそうになりました。危ないところでした・・・
そんなこんなで、ワチャワチャと準備をして、おやつやお茶、のど飴なども持ってお出かけです。
ですが車に乗って間もなく、ユリナさんは思い当たりました。
「そういえば、髪を縛るゴムをマリちゃんは持ってる?おかあさん、自分のは持ってるけど・・・」
あ~~、髪を結ぶゴム、こちらも絶対必要ですよね!
「ない。」
マリちゃんが答えました。そうですね、その時髪を結んでいたならあったのでしょうが、マリちゃんは髪をおろしていました。
「そっか~・・・」
ユリナさんは自分のバッグの中をごそごそと探しました。運が良ければバッグのどこかのポケットの中に入っている時もありますが、この日のバッグにはポケットがありませんでした。
ですが、そのバッグには小さめのビニール袋と輪ゴムが入っていました。ユリナさんがどこかでお食事をした際に、食べきれなかったパンやマフィン等を持ち帰るための袋と輪ゴムです。いわゆる生ゴムというやつ?ですが、かろうじて髪の毛をしばることもできます。
さしあたり手持ちのヘアゴムはマリちゃんに貸して、自分は輪ゴムでもいいかぁ~とユリナさんは思いました。それにしても、やっぱりなにかを忘れちゃうんですよね~・・・
しかし、ユリナさんの忘れ物はこの程度では終わりませんでした。ユリナさんはこの日、最も重要であろうものを忘れていたのです・・・!!
その日の夕方、事態は明るみになりました。日帰り温泉施設へ着き、シンちゃんとケントさんは男湯へ、ユリナさんとマリちゃんは女湯の脱衣所で温泉に入る準備をしていた時。
ユリナさん、マリちゃんはそれぞれのロッカーに自分の物を入れます。マリちゃんにはマリちゃんのバスタオルと下着、着替えを渡しました。
マリちゃんのバスタオル、下着と・・・
下着と・・・え~と、シャツはありますね。そして、パンツも・・・
パンツ・・・パンツは?
えっ、マリちゃんのパンツは??
ユリナさん、慌てました。心を落ち着かせようと努めつつ、バッグの中をもう一度探りました。(つづく)
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