第9話 ちょっとラッキーだったユリナさん

そうですよね、その後どうするのって話ですよね。ふたをかぶせて終了ってわけにはいきませんよね。


ユリナさんは遠巻きに様子をうかがっていました。おや、ケントさんがなにかそわそわしています。ケントさん、やってくれるのかしら?


でもまだケントさんも頼りないので、結局はシンちゃんの仕事ですね。お父さんですからね。ケントさんはレゴのふたを取る係になったようです。


そうして、ケントさんがやーっとふたを取り、シンちゃんは丸めた紙でバーンと・・・ユリナさんは遠くからチラッと見て目をつぶりました。南無阿弥陀仏・・・心の中で唱えていましたよ。


シンちゃん、虫を始末した後の床を掃除していました。必殺仕事人ですね。


ユリナさんは使命を果たした2名をほめてつかわしました。


「ケントさん、がんばったね、偉かったね~!」


ケントさんの頭をなでなで・・・


シンちゃんも、お礼を言われるのを待っているご様子。


「シンちゃん、ありがとう~♡」


ユリナさんはシンちゃんのホッペにねぎらいのチューを・・・


「3500円です。」


また、シンちゃんは対価を要求しました。いつものパターンです。


「はいはい・・・」


ユリナさんはシンちゃんのホッペにチューを4回しました。ユリナさんのチューは1回1000円ぐらいになるのでしょう。


「多めに払っておきました。」


ユリナさんはのたまいました。いつものやり取りです。


「3500円です!」


シンちゃんは裏声で繰り返しましたけど、もうお支払いは済んでいる模様。


さて、その後シンちゃんはお風呂に入りました。続けてケントさん、マリちゃんもお風呂に入って、最後にユリナさんです。


お風呂場へ行ったユリナさん、お風呂に入浴剤が入っていないことに気付きました。


「シンちゃん、入浴剤入れなかったんだ。」


お風呂場の脱衣スペースに、何種類かの入浴剤を置いているのですが、最初に入る人は好きな入浴剤を選べることになっています。固形の、炭酸ガスの出る入浴剤は最初に入る人の特権なんですよね~


「入浴剤選んで、入れていいよ。」


といつもは最初にお風呂に入る人に、ユリナさんは声をかけています。でもこの日はゲジゲジ騒動があって、声をかけるのを忘れちゃったのですね。


その後、ケントさんも、マリちゃんも入浴剤には気付かなかったのでしょうか。マリちゃんは固形の入浴剤を選ぶチャンスを楽しみにしているふしがあったのですが。


じゃあ今日は、私が選んじゃおう♡


ユリナさんは、「梨の香り」という入浴剤を選びました。入れるとシュワシュワするんですよね♬ 梨の香りは正直よくわかりませんが、日々のささやかな楽しみのひとつです。


お風呂最後だったのに、シュワシュワできたなぁ~♡


小さなことですが、ユリナさんはラッキーだと思いました。お風呂でシュワシュワできる確率は4分の1ですから。次は誰でしょう。なるべくみんな、公平にシュワシュワできればいいなと思うユリナさんでした。

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