第50話 極東からのサプライズプレゼント

 ドレスを何着か選び出して、組み合わせを考えて解体してリメイク。

 レースも再利用よ。この時代は機械もないからこれは普通。


 どこにどうレースを配置してフリルを足すとか描いて、エンパイアラインのドレスのデザイン画を針子に渡そう。


 後はアギレイの文官を元宿屋の宿舎を案内して、文官の生活のサポートの計画。

 エビ取り名人のケビンにお世話を頼もうかな? 貴族のお世話の経験も積めるし。


 うーん、領地貰ったせいで地味にやる事が多い。

 マッタリスローライフはまだちょっと遠いわね。

 自分で財産を持ちたかったから仕方ないけど。



 そして針子のアトリエに移動し、公爵邸の針子達にデザイン画とリメイク用のドレス等を渡した。



「このレースを胸の下にヒラヒラとくっつけて、それと膨らんだ袖の下にも」

「はい、奥様」

「あの、奥様、狩猟大会用のドレスは新しく作らずに本当にリメイクで良いのですか?」


「リメイクすれば全く同じではないから。前のはエンパイアラインでも無かったし」

「奥様はそれでいいとおっしゃるならば」

「だいたい狩猟大会の主役は男性だもの」



 とりあえず針子には説明を終えた。

 次に執事見習いのケビンを伴い、転移陣でアギレイに行き、文官達に案内と必要物資を渡し、説明を終えてバタバタと自領に戻った。


 すると早速メイドのメアリーが私に報告に来た。



「奥様、かぐや姫から手紙と贈り物です」

「え? 何!? サプライズ!? 嬉しい!! すぐに私の部屋に運んで!!」

「お部屋にですか? 承知致しました」


 そして……しばらく後。


 ドーン!!


 私の目の前に鎮座するのはふわふわの絨毯と、その上には……なんと! 

 日本の冬の風物詩とも言えるコタツ!!

 そしてカゴ入りみかん!!


「おこた一式とおみかんまでいただいたわ〜〜!!」



 超嬉しい!!

 私は熱源が気になって、おこたに頭から突っ込んでテーブルの下に潜り、裏を見上げてみた。

 へー、熱源は電気の替わりにテーブルの下に火の魔石が取り付けてあるんだ!!



「お、奥様、これは変わったテーブルクロスですね。板の下に設置するなんて」



 かぐや姫からの手紙についていた説明書通りに、執事がおこたを設置してくれたけど、おこたに頭から突っ込んだエレガントさ皆無の公爵夫人たる私を見て、執事がやや動揺した声で話しかけて来た。

 驚かせてすまない。


 私は早速おこたの熱源スイッチを入れて稼働を始めた。

 そしておこたからにょきっと頭を出し、上機嫌で執事に説明をした。



「これはテーブルクロスではなく、その、コタツ布団と言うのよ」

「はあ、コタツブトンですか」

「とにかく、設置ご苦労様! もう持ち場に戻っていいわ」

「はい」



 力仕事は終わったので、執事には部屋を出て行って貰った。



「あ、メアリーはこのおこたの台の上にカゴ入りみかんを」

「はい、カゴにこのオレンジ色の果物を入れたらいいのですね」



 メアリーは説明書に描かれてたイラスト通りに、みかんを配置してくれた。



「そうそう、みかんを真ん中に。

そして私はここで魔石に魔力を注入して、あ、それより先にお礼の手紙と……私の方からも何か贈り物をしたいわね!!」



 メアリーは素早くレターセット一式を持って来て、おこたの上に置いてくれた。



「かぐや姫には何を贈られますか?」

「……うちの鉱山の魔石は光によって色が変わる綺麗な物があるのよ。

アクセサリーとしても優秀だから御守りに加工して贈るとしましょう」



「まあ、それは素敵な贈り物ですね」


 それからおこたの中でお礼の手紙を書いて、魔石に癒しの魔力を注入。

 怪我や病気になった際、治りが早くなる祈りと魔力を込めた。


 そしてそのまま私は温かいおこたの中で……寝落ちた。

 あ……まだ……おみかん食べてない……。

 スヤァ……。

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