第23話 最強吸血鬼と愉快な仲間たちによる日本征服会議⑦
「この日本にも魔力があるということは……それを集めたらすぐ帰れるってことか!?」
驚きの声を上げるルナ。
「はい」
「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」大興奮のルナ。
「え……結局帰れるってことなの?」と能丸が混乱気味に話す。
「なんだい、励まして損したねぇ」
「堵々子言い草!! いや、待てそれよりマリラ! 魔力の話じゃ! この世界にも魔力はあるんじゃな!?」
「はい、ルナ様の魔力があります」
「おお! 我の最強魔力が……って、いや魔力なくなっとるじゃろ!? こんな悲しい姿に変わっとるじゃろがい!」
ルナは自身の薄い胸をバンバンと叩いてアピールする。
「ルナ様の中には確かに魔力はありませんが、ルナ様から漏れた魔力がこの世界のどこかにあるはずです」
「…………ほえ?」
「転移に失敗した際に魔力は消費されたのではなく、どこかへ飛んで行ったということです。使ってないのになくなりませんよ」
「え……つまり、ミー●くん的な? ばらばらにされた肉体を取り戻せば元に戻る的な感じなんか!?」
「その説明にミー●くんいりますか?」
「ドラゴン●ールよりは、ミートくんの身体の方が、今の我の状況に近いじゃろうがい!!」
ルナとマリラが漫才しているのを、よくわからないという表情で見ている能丸。
「ミー●くんって何……?」
「さぁ、たぶん肉屋だろうねぇ」
茶をしばきながら事の成り行きを見ている堵々子。
そんな若干置いてけぼりな二人をよそに、ようやくルナは話を戻す。
「とにかく我の散ってしまった魔力を集めれば帰れる……それどころか、世界征服できるんじゃないかそれ!?」
ルナの目がやる気に満ちていき、一人で突っ走り始める。
「むしろここから世界征服まで行くのが真の覇道じゃんな!? 我の自伝出すときも、最初はどん底から成りあがる方が、盛り上がるもんのう!」
「まあ……そう、なのかな?」
能丸がとりあえずという感じで合わせる。
「じゃろがい!! いやぁ、我もいままで世界を支配するの楽勝過ぎて、ちょっと征服にも歯ごたえ欲しいなぁとか思っとたんじゃよ実は!」
「そうですね」
マリラは、心底どうでもよさそうにあまり文脈の繋がっていない返答をした。
しかしそれに気づくことなくルナは続ける。
「この世界に散らばった我が魔力を再び集結させ、この世の支配者が誰なのかを、我をコキ使った正社員どもにわからせてやらねばなぁ~! くっくっく……! 面白くなってきたぞ!!」
「あ、しまった……もう相撲始まってるじゃないか」
堵々子はリモコンをポチポチして、大相撲中継を見始める。
ルナはリモコンを奪って、テレビを消す。
「あ、ちょいと! アタシ見てたのに!」
堵々子が起こるが、それを無視してルナは大きな声で宣誓する。
「魔力を集めるのだ、我が忠実なるシモベたちよ!! おぬしらも我の覇道の一端を担う誉れをやろう!!!」
「「「…………」」」
ルナの宣誓に、三人とも綺麗に黙るのだった。
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