第13話 年金って将来本当に貰えるのかわかんなくて結構ビビるよねの巻②
「ネンキン♪ ネンキン♪ ネンキン♪」
スキップしながら歩くルナだったが、あることに気づく。
「そういえば、どこでネンキンは貰えるんじゃ?」
根本がアホなので、そういうところに気づかないまま出てきたしまったルナ。
戻って堵々子に聞こうかとも思ったが、
「今更、家まで戻るのも面倒じゃな」
というわけで、誰かに聞くことにする。
折よく?運悪く? 通りかかった一般女性にルナは話しかける。
「おい、そこの」
腕を組みを尊大な態度で、声をかけるルナ。
「……私? ですか?」
「そうじゃ。ネンキンはどこで貰えるんじゃ?」
「……え?」
あまりに脈絡がなく、女性はルナに聞き返した。
「なんじゃ、おぬしもネンキンを知らんのか。フフン、教えてやろう! ネンキンは年を取ると貰える金のことじゃ! 我は3000歳じゃから、5000兆円くれるらしい!」
ルナはさっき知った知識を、過剰脚色してドヤ顔吹聴した。
ルナのセリフに女性はドン引きしているが、相手が子供なので合わせてくれる。優しいね。
「さ、3000歳で5000兆円……す、すごいね……? たぶん年金のこととかは、市役所で話を聞くんじゃないかな?」
「なるほどのう。それで、その市役所はどこなんじゃ?」
「えっと……ちょっと待ってね」
女性がスマホで、市役所の場所を検索してくれる。
「あ、わかったよ。この道をまっすぐ行って、4つ目の信号を左に曲がって、そこから道なりにいくと、フ●ミマがあるから……」
「あ~なるほどなるほど。完全に理解したわい」
「え、まだ道順途ちゅ――」
「市役所への道のりなど覚える必要がないということがなあ!!!」
女性の発言を遮って、突然デカい声を出すルナ。
「我は夜の女王! 次の侵略地とか、道案内とか、掃除洗濯家事手伝いとか、そういうなんか細かいアレは部下にさせると決めておる!」
普段からの決めポーズであるマントをバサッとするポーズをとるが、マントがないので、アホの盆踊りのようだ。
さらにルナは続ける。
「これは、決して道が覚えられないとかそういうのではなく、単純に我のような高貴な存在が、年一回もいくかわからんような場所への行き方を覚えるとか、無駄すぎてラッシュを決めてしまうわい! なあ!?」
「え!? う、うん……?」
女性は、いきなり意味不明な同意を求められて、勢いで頷かされた。
「して女!!」
「は、はい!」
「おぬし、名はなんというのじゃ?」
「私は『能丸 里依紗』(のうまる りいさ)だけど……」
「ふむ……見た目通りノーマルタイプっぽい名じゃな。明らかに普通じゃ」
「よく言われるけど、あんまり言わないでほしいな……」
「しかし、これからおぬしは普通でなくなるぞ!」
「え?」
「なにせ、夜の女王にして世界の支配者。ヴァルミリオン・ルナ・ノクターナに召し抱えられるのだからのう!!」
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