私のオールは誰にも任せない!

ヤバい、ヤバい、ヤバい ヤバいって!

獣道をパンを咥えて走る雅子。


ー2時間前


「きゃっ」パリーンっ

お皿を落としたアンジェシカ、そこに走り寄ってくる男性

「アンジェシカくん!今日で何枚目だ、次やったらクビだよ!」

「すみません、店長今すぐ片付けます」


 はぁ〜ぁ…ダメだな私 落ち込んだ様子で割れた皿を片付けていると、顔立ちの整ったエルフが声をかける

「大丈夫かい?僕も手伝うよ」

「だ、だ、だ、大丈夫ですぅ」声がうわずる

「割れてて危ないから、それにしても店長も初日の子にあそこまで言わなくても良いのにね」破片を集めながらニッコリ笑いかける。

「僕はエルフ・マイケルよろしくね。」


「あ、アンジェシカと言います!よ、よろしくおねがいします!あいたーっ!」

 

割れた破片でアンジェシカの人差し指からプクッと血が出ると、マイケルが指を掴み口に入れる。

きゃーーーっ!?!「き、汚いですよ」

「アンジェシカのなら汚くないよ。」

ハートのついた矢がアンジェシカの胸を貫く

 

 やべーよ!何このイケメン様は、この透き通る様な白い肌、切れ長の目に瞳がライトグリーンってなに?


指から口を離すとおもむろにマイケルが顔を近づける


近い、近い、近いこのままだとキ…ス…



「ちょ待てよ!!」

厨房入り口に腕を組みもたれ掛かる男性の姿が


ちょっ!何ですかあのダークエルフわ!


 驚く雅子を尻目に立ち上がりダークエルフと睨み合うマイケル

「俺様の女にちょっかい出すなよなっ!マイケル」

「いつから彼女が君の女になったんだい?ダークエルフ・ハヤト君」

「あぁ?!」


 ハヤト様って言うのねイケメンだわー 色黒の肌 少し長めの金髪、それに八重歯がステキだわー

ハヤトに見惚れていると後ろから声を掛けられる


「ねーねー僕も混ぜてよ〜」


端正な顔立ちの幼さ残る小柄なエルフが立っていた。


「テメェは引っ込んでろ、タクミ!」「えー、僕にだってアンジェシカさんの隣にいる権利あると思うんですけど〜、ねー?」眩しい程の笑顔で微笑みかける


タクミ君ね覚えたわ!私イケナイ扉を開きそう!


と、奥から色黒のパーマの男性が来る

「ボブって言います。」


4人がそれぞれ想いをぶつける。

「アンジェシカさんは僕の彼女です!」

「コイツは俺の女だ」

「ぼ・く・の・だよね?」

「ボブって言います。」


イケメンエルフ様達、私を取り合って争わないで…


アンジェシカは涙を流し祈る姿でこう思った。


 何で争いが生まれるの?私が美し過ぎるからなの?今日という日を胸に私は、この残酷な世界に終止符を打ちこの中から1人を…


遠くから声がする。



「起きなさい!雅子!」

母の痛烈な一撃で吹き飛ぶ雅子、ボンヤリとした中左頬に激痛が走る。


「アンタもう何時だと思ってるの早く起きなさい!」

「夢かーーーぁぁぁ… 今なんじー?」

「もう10時よ」

「!!」

慌てふためく雅子、目覚ましは6時にセットしていたが楽しみの余り寝れずに4時まで起きていた為寝坊したのであった。


「何でもっと早く起こしてくれないのさー!」

「起きないのはアンタのせいでしょ」

何も言い返す事が出来ず、支度をして出ようとする雅子に荷物を渡す母

「はいコレ朝ごはんと、今日の分だけだけどお弁当ね。」オニギリとお弁当を受け取り少し泣きそうになる雅子

「行ってきます」

「身体には気を付けてね」

手を振り合う2人

「イケメンエルフが私を取り合うって何ー?」

手を振るのを辞め全速力で村を後にするのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オークだって恋したい! @majimemamoru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ