同行者
「シャーロット、開けてくれ!」
盗賊だ!とリアム父さんが叫んでからどれほどの時間が経ったのかわからない。だけど、元気そうなリアム父さんの声から無事であることは分かった。
「シャーロット母さん、ドア開けないの?」
「そうね。クレアは念のため下がっておいてくれる。」
「うん、分かった。」
シャーロット母さんは私が十分に離れたことを確認すると馬車のカギを開けた。
「あなた、無事だったのね。トーマスも無事そうでよかったわ。」
シャーロット母さんはリアム父さんとトーマスさんの顔を見てとても安心した顔をしていた。
「ああ、2人ともケガ1つなく無事だよ。あと、王都まで同行者が1人できたよ。」
「「同行者?」」
シャーロット母さんとともに首を傾げていると
「ベクト-ル様こちらが私の妻のシャ-ロットです。そして、奥にいるのが次期マリビア男爵当主候補のリアムです。」
リアム父さんは私達を指しながら初老の男性に紹介した。
「あなた、そちらのお方はどちら様?」
「こちらはベクトール・マリビス様」
「どうも、ご紹介いただきました。ベクトール・マリビスです。王都までよろしくお願いします。」
と言いながら私とシャーロット母さんに向けて優雅にお辞儀をした。
「っ!」
お辞儀をされたのでなんとなく会釈をしていると横にいるシャーロット母さんが声にならない悲鳴をあげた。
「ベクト-ル様どうぞお乗りください。」
リアム父さんはそういいながらベクト-ルさんを馬車の中へと誘導しようとした。
「うん。その前に確認、盗賊はどうする?持っていく?それとも処分する?」
「本来であれば近くの街まで連れていって警備の者に預ける方がいいのでしょうが、連れていくのは現実的ではありませんので処分しようと思います。」
とリアム父さんが返答した。この国の法律では盗賊は捕縛できるならできる限りの捕縛してほしいが、殺してしまっても問題はない。となっている。捕縛して詰所まで連れていけば謝礼として最低でも一人あたり銀貨1枚出るので商人たちは連れて行くことが多いらしい。
「分かった。」
と言いながら右腕を左から右へと振り抜いた。すると周りにあった氷像が粉々になって消えていった。目の前の出来事を理解できず固まっていると
「うん。それじゃあ行こうか。」
ベクト-ルさんは何かに満足した雰囲気で私に言った。
「あ、はい。」
私は慌てて馬車に乗った。私に続くようにシャ-ロット母さんとリアム父さんも馬車に乗り込み馬車は動き出した。
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