王都への旅路

ゴン!

頭を馬車の壁にぶつけて目を覚ました。どうやら緊張が解けて寝てしまっていたようだ。

「どうかしたのか?」

リアム父さんが馬車の窓を開けて御者のトーマスさんに声をかけた。

「道が陥没しています。」

「なに!シャーロット、クレアと待機していてくれ。僕はトーマスとどうするか話すために外に出るから。」

「分かったわ。気負つけてね。」

リアム父さんは手元に置いてあった剣を持って馬車の外に出ていった。シャーロット母さんも近くに置いてあった短剣を手に持ちながら私と馬車の入り口の間に移動した。

「シャーロット母さん、何でそんなに警戒しているの?」

「そうね。クレアいい機会だから簡単に説明するとね。通常、道が陥没していることはほとんどないの。時々あるけど、そんなときでも馬車の揺れが少しひどくなるけど馬車で通れなくなることなんてほとんどないから、気にせずに通って行くの。馬車を止めないといけないぐらい陥没しているっていうのは人為的な場合か、大型の魔物が暴れた時ぐらいで近くで盗賊が待ち伏せしていたり、大型の魔物がうろついている可能性があるから警戒しているのよ。」

「シャーロット母さん、大丈夫だよね?」

「大丈夫よ。普段のかっこからは想像できないでしょうけどリアムは剣の大会での優勝経験が何度もあるし、お母さんも魔法大会で優勝した経験があるんだから。何かあっても問題なく対応できるわよ。」

「そっか。よかった。」

シャーロット母さんが笑顔で言い切ってくれたおかげでとても安心できた。

「馬車の鍵を閉めろ!盗賊だ!」

安心して体の力を抜いてすぐにリアム父さんの叫び声が聞こえて、シャーロット母さんが馬車のドアについてある鍵とすぐ近くにあった魔道具を起動させた。

「シャーロット母さん!」

「大丈夫よ。この馬車は代々家で引き継がれている特別製でこの魔道具を起動させたら馬車そのものが強化されて壊れにくくなる仕組みなの。それに、この鍵も閉めてしまえば外から扉を破りにくくなるように何かしらの魔法が起動するらしいから大丈夫よ。」

声を震わせながらもシャーロット母さんは私に説明してくれた。

「でも、リアム父さんとトーマスさんが…」

「大丈夫よ。トーマスもそれなりに腕の立つ人だからね。2人なら盗賊の10人や20人どうってことなく倒せるわよ。」

そう言いながらもシャーロット母さんはどこか不安そうな顔をしていた。

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