大魔導士への道

カエル

プロローグ

「クレア、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。」

「そうよ。まだ、領地を出てもいないんだから。王都までまだ5日はかかるわよ。こんなに早くから緊張していたら、持たないわよ。」

向かいに座っているリアム父さんとシャーロット母さんが笑顔で話しかけてきた。

「リアム父さんとシャーロット母さんは領地の外に出たこともあるから出るだけで緊張する私の気持ちなんか分からないかも知れないけど、私は初めて城壁の外に出てきたんだよ。緊張するでしょ!」

「そうかしら?」

シャーロットお母さんは首をかしげながら聞き返してきた。

「そうよ。」

私、クレアは10歳の誕生日を迎えたので春から王都にある学園に通うことをなり、王都の学園に入学するために馬車で王都へ移動しているところである。本来ならば、貴族の子供は6歳の誕生日を迎えた年の春に王都で開かれるパーティーに参加して顔合わせを行うのだけれど、パーティーが開かれる少し前に体調を崩してしまったためパーティーに参加することができず、その後も領地の外へ出る機会があるたびに体調を崩してしまったため一度も領地からはもちろんのこと領都であるマリスビからも出たことはない。

「そういえば、クレア、本当に1人でいいのかい?」

「大丈夫よ。私は1人でも生活できるもの。それに、今家にいる人を私に同行させると新たに人を雇わなくなるでしょう。人を雇うには色々と大変だといつもリアム倒産は言ってるじゃない。そんな大変な思いをさせてまで連れていきたいと思わないわよ。」

王都の学園では貴族は使用人を1名まで同行させることが可能である。だけど、私は普段から使用人の手を借りることはほとんどないので、いなくても困らない。

「そうかい。別にそんなことは気にしなくてもいいんだよ。まあ、クレアがそういうならいいけど。もし必要だと思ったらすぐに連絡するんだよ。」

「分かったわ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る