第1話 幼馴染と異世界転生

 俺は目を覚ますと見知らぬ天井があった。


 ここは何処だと体を動かしたりしたが、自分の体だというのにうまく動かせない。


 何と動いて隣に見知らぬ銀髪の赤ん坊が寝ているのに気がついた。


「あっあっあっ?バブバブバフ?(この赤ちゃん誰?何で俺の隣で寝てるの?)」


 自分では普通に喋っているつもりでも聞こえてくる自分が喋っている声は聞き覚えのない、全く上手く喋れていない赤ん坊の声だった。


「!!あっきゃきゃ(手が小さい)」


 今更気づいたのだが、成人男性のはずの俺の手が赤ん坊の手みたいに小さかった。


「まにゃおりか、あやあああや?(まさか俺、赤ちゃんになったの?)」


 そんなことを考えていたので足音が近づいてきているのに気づかず、目の前に綺麗な金髪碧眼の二十代前半の女性と見知らぬ女性と同じくらいの年齢であろう黒髪黒目のメイドさんが立っていた。


「あら〜、アリスはまだ寝ているけどアルス起きちゃったのね。双子だから二人共顔はそっくりね」


「アルス王子、元気いっぱいですね。赤ちゃんは寝起きで誰も居なかったりしたら泣くものですがアルス王子は全く泣きませんね。

まだ寝ているアリス王女もですが……」


 アリスって誰?寝ているって言っているし、隣で寝ている赤ちゃんのことだなきっと。


 もう一つ名前が出たけどアルスってどちら様?まさか俺のことじゃないよね?俺の名前は小鳥遊漣だしな。


 それより王子とか王女って何?日本に王族は居ないから王子とか王女とか居ないよ。


「うんちしているのですね?出し終わったらおむつ替えましょうね」


 考え事をして、うんうん唸っていたらメイドさんがうんこしたと勘違いしておむつを替えると言い出した。


 小さい手、喋っているつもりがうまく喋れず何を言っているかわからない、体がうまく動かせない、アルスとアリス、王子と王女、見覚えがない天井、見覚えがない二人の女性、おむつを替える、そっくりな顔。


 これから導きだされることは、幼馴染と事故にあって、俺は死んでしまい赤ちゃんにしかも王子に転生して名前はアルスってことだな。


 そして、まだ寝ている可愛い赤ちゃんがアリスで名前も似ていて、顔もそっくり、一緒のベッドに寝かされていたという双子の姉か妹だな。


 男女の双子は二卵性ばかりだけど、極々稀に男女の一卵性双生児が生まれることもあるらしい。


 俺もこんな可愛い顔をしているってことだな。


 前世フツメンだったので、なぜこのようなことになっているかわからないが、嬉しい大誤算だ。


「あら?うんちしてませんね」


 はい。考え事をしている間にメイドさんにおむつの確認されました。


 体は赤ちゃんだけど成人していた前世の記憶があり、精神年齢的に見知らぬ女性に見られるのはなんか恥ずかしいし、いけないことをしている気分だ。


「あうあうあ」


「アリス王女も起きましたか」


 俺が羞恥心を感じていたら俺の片割れも目覚めたみたいだ。

 アリスは右が銀眼、左が紫眼のオッドアイだった。

 双子なら俺もそうなのかな……鏡プリーズ。


「アリス王女も起きられましたし、まもなくお二人のステータスの鑑定に神殿から神殿長が来られますので、お二人ともお着替え致しましょうね。

基本、ステータスは神殿にある法具でないと鑑定することができないのですよ。

平民は神殿に行きステータス鑑定してもらうのですが、希少なスキル持ちだった場合に狙われる可能性高いので、王侯貴族は城や屋敷に神殿長を招いて鑑定してもらうのですよ。

鑑定してもらうことでいつでも自分のステータスを見ることができるようになるんですよ」


「「きゃきゃきゃ」」


「お二人共嬉しそうにお笑いになって。どんなスキルや魔法属性があるか楽しみなのですね」


 俺とアリスがキャッキャ笑ったらメイドさんがそんなこと言った。


「マリア。二人共カインの時とは違ってグズったり、夜泣きしたりしないけどまだ赤ちゃんなんだからそんなことわかるわけないでしょう」


「王妃様。そうでしょうか……お二人共わかっているような気がするんですよね」


 メイドさんは、マリアさんと言うのか。

 普通の赤ちゃんは王妃様の言う通りわかるわけがない。


 しかし、アリスはわからないけど俺は前世の記憶があるので理解できている。


 マリアさんは、天然なのか鋭いのかわからない人だな。


 しかし魔法があるということは異世界転生ってやつか。


 ステータスとか言っていたな。ステータスって口に出したり、心の中で唱えたりしたら確認出来ちゃったりしてね。


(ステータス)


「「!!」」


 冗談のつもりでやったのに本当にステータスが目の前に表示された。


 アリスも驚いた顔をしていた。


 王妃様もマリアさんもこちらを見ているが何にも言ってこないので、俺のステータスは俺だけに見えていて、皆に見えているわけではないことがわかる。


 アリスも俺のステータスが見えているわけではないのだとしたらアリスも俺と同じように心の中で唱えたら自身のステータスが表示されたってことなのかな?


 俺は前世があるからわかるが、アリスも同じく転生者なのかもしくは超天才かだな。


 それはあとにして、ステータス表示されたし、チェックしてみよう。


名前:アルス・フォン・アルカディア(前世名:小鳥遊 漣)

種族:人間族

年齢:0歳

称号:アルカディア王国第二王子、カエサルとソフィアの子、カインとアリスの弟、剣聖、異世界転生者

レベル:20

体力:∞

魔力:500,000

物理攻撃力:∞

物理防御力:∞

魔法攻撃力:500,000

魔法防御力:∞

魔法属性:火・水・風・土・雷・氷・光・影・聖・無

スキル:鑑定、隠蔽、隠蔽看破、武器術、体術、状態異常無効、言語理解、安易スキル取得


 俺が弟でアリスが姉だったか。


 それよりも神殿長が来てステータスを鑑定するんだよな……称号の異世界転生者とか騒ぎになるだろうから見られたり知られちゃいけないものがある。どうしよう……


 こういう場合、ラノベあるあるだと隠蔽スキルで隠せたりする。試してみよう。


名前:アルス・フォン・アルカディア【(前世名:小鳥遊 漣)】

種族:人間族

年齢:0歳

称号:アルカディア王国第二王子、カエサルとソフィアの子、カインとアリスの弟、剣聖

【異世界転生者】

レベル:20

体力:∞

魔力:500,000

物理攻撃力:∞

物理防御力:∞

魔法攻撃力:500,000

魔法防御力:∞

魔法属性:火・水・風・土・雷・氷・光・影・聖・無

スキル:【鑑定、隠蔽、隠蔽看破】武器術、体術、状態異常無効、言語理解【安易スキル取得】

※【】内のものは隠蔽中


 思った通りできた。

 ステータスは神殿の法具でないと鑑定できないらしいから鑑定も一応隠蔽した。


 持っている人もいるかもしれないが、王子ということでただでさえ目立ち注目集めるので余計なトラブルは御免被りたいので隠蔽と隠蔽看破も隠蔽した。


 ラノベあるあるであと周りを驚かせずに試せることは……鑑定で他人のステータスをチェックだ。アリスのステータスをチェックしてみよう。


名前:アリス・フォン・アルカディア(前世名:神咲 凜)

種族:人間族

年齢:0歳

称号:アルカディア王国第一王女、カエサルとソフィアの子、カインの妹、アルスの姉、勇者、異世界転生者、不老不死者

レベル:20

体力:∞

魔力:∞

物理攻撃力:∞

物理防御力:∞

魔法攻撃力:∞

魔法防御力:∞

魔法属性:火・水・風・土・雷・氷・光・影・聖・闇・無

スキル:鑑定、隠蔽、隠蔽看破、武器術、体術、状態異常無効、言語理解、安易スキル取得


「「!!」」


 俺もだが、またアリスが驚いているような顔した。


 きっとアリスも俺のステータスを見たのだろう。


 アリスのステータスを見る前に俺のステータスを隠蔽隠蔽したけど、隠蔽看破スキルがあるから隠蔽部分も見えているだろうしね。


 それよりもだ……。アリスが凜……凜が双子の姉……。


 あの時一緒に事故にあった幼馴染で、凜とは両親も親友同士、病院も同じで、誕生日も一緒、名前も似ていて、同い年で家も隣同士だったので兄妹(姉弟)のように育った。


 兄妹(姉弟)みたいな関係から恋人関係に発展することはなかったが、成人してからも一緒に遊びに行ったりしていた。


 まさか……一緒に事故にあって、二人共死んでしまい同じ世界に双子の姉弟として転生することになるとわな。


 それより俺にはない、他人に知られたらかなりヤバい称号が凛にはあった。


 不老不死者ってなんだよ……ずっと老いないで若い容姿のままで、死なないってことだろう……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る