第22話 謎の少女に誘拐される
イヴァンは走馬灯のように流れる自分の不甲斐なさに、みじめにも涙を流しながら刃を喉に当てる。
そんな時だった。
「そんなはずがありません」
聞き覚えのある優しくも凛々しい声がこの空間を切り裂いた。
どこからともなく表れた赤いマントを着た彼女はイヴァンの手から槍を取ると、地面に捨て衛兵たちから身をかばう様に背を向ける。
「パッパ!」
飛びついてくるリノをイヴァンは優しく抱きしめながら目の前の彼女をただ見つめた。
初めてあったはずなのに、どこか前から知っている様で、どこか妻に似ていた。そのせいか、数人の衛兵を前に凛々しく立ちふさがる姿にかける声が見つからない。
何してる!逃げろ!お前に何ができる!
その言葉を押し黙らせる程のオーラを彼女から感じた。
次の瞬間、赤いマントが消えると同時に姿を現した綺麗な銀色の鎧が彼女の気高さと地位を現している。
正面で構える彼女はその刃を真っ赤に光らせる。剣を地面に刺すと、炎が衛兵を囲むように広がり周りの地面と建物が爆発する。
立ち込める砂煙に、せき込むと耳元で彼女の声がささやかれる。
「逃げますよ」
彼女の細い手がイヴァンのお腹に回されるといとも簡単に体が宙に浮く。そのまま
イヴァンは謎の少女に誘拐されていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます