第6話 魔素の餌
畜生道に堕とされた俺は、ドラゴンに転生させられてしまう。
そしてこの世界のドラゴンは人間に変
その変化能力のない俺は、産まれてすぐに、千尋峡谷に落とされる。
そこで美少女ドラゴンのミーシャと出会う。
「サム、あんたはここがどう言う所か、分かる?」
ミーシャは唐突に俺に問う。
「さあ?」
そう聞かれても、俺もよく知らない。
人間に変化出来ないからって、落とされた。
いわば、能力の欠けるドラゴンの棲家みたいなものか。それを、うまく表現できないが。
「ここは、千尋峡谷。人間に変化出来ないドラゴンの、うーん、修行場所?みたいなものね。」
「修行場所?」
まだ設定があやふやなのか、曖昧な答えが返ってくる。
「その言い方だと、人間に変化出来れば、抜け出せるみたいじゃん。」
俺は感じた事を、そのまま口にする。
「ええ、その通りよ。あれを見て。」
ミーシャは絶壁の一部を指差す。
「あれは、縄梯子?」
そこに見えたのは、鎖で形作られた縄梯子のようだ。
それが絶壁の上の方まで、続いている。
「あら、よく知ってるわね、そんな言葉。見ての通り、あれは人間にしか使えない。ドラゴンのままだと、使えないのよ。」
「ああ、なるほど。」
ミーシャの言葉に、俺は納得する。
あの縄梯子は、ドラゴンの身体には小さすぎる。
ドラゴンの体重を支えるには、心もとない。
「だけど、ここに居れば、人間になれるのか?」
修行場所とか言う事だし、そういう事だろう。その具体的な方法は分からないが。
「さあ?それはどうかしら。」
ミーシャの瞳が、一瞬怪しく光る。
人間になったら、食われる。
ミーシャの瞳の怪しい輝きに、俺はそう思った。
これが杞憂であってほしいが、ミーシャに確認する訳にもいかない。
「でもここって、修行場所なんだろ?」
「ふふふ、それもどうかしらね。」
「え?」
ミーシャの答えに、俺は少し混乱する。
てか、ミーシャが少し怖くなる。
「ふふふ、実はみんなここの生活に馴染んじゃって、誰も出て行かないのよ。」
とミーシャはニヤける。
「そ、それじゃあ、ここって、」
俺は少しゾッとする。
みんな、こんな谷底で満足してるんか?
「まあ、餌もそこまで不自由しないし、慣れれば、そこそこ快適だし、出て行く理由もないのよね。」
「餌?」
ミーシャの言葉に、俺はニートっぽい何かを感じる。
てか、餌ってなんだろ。まさか、俺みたいな新入りを共喰いか?
「そろそろ時間ね。あんた、魔素は感じ取れるんでしょ?」
身の危険を感じる俺に、ミーシャは餌の説明をしだす。
って、これって餌の説明だよな?
「あ、うん。」
俺は目を閉じて、周囲の気配を探る。
閉じた後で、ミーシャの前で迂闊だったと思ったけど、もう遅い。
「ん?なんだ、あれ。」
俺が探知した魔素は、ある地点に集結しようとしている。
俺は目を開けて、その方向に視線を向ける。
ここから数十メートルの場所に、魔素は集まり、二匹の子羊が出現する。
そこへ、十匹くらいのドラゴンが襲いかかる!
ドラゴンは、子羊をめぐって争う。
「数時間に一度、どこかに現れるのよ、餌が。」
ミーシャは羽をはばたかせ、宙に浮くと、そのまま飛んでいく。
そして争うドラゴン達から、子羊を一匹かすめ取り、そのまま飛び去った。
俺も背中の羽をばたつかせるが、浮く事も出来ない。
そもそもこの羽で、飛ぶ事は可能なのだろうか?
俺は争うドラゴン達を迂回して、ミーシャを追った。
後書き
ども(・ω・)ノ
なんか魔素が溜まって餌になるって、よく分からん設定きました。かっこ笑い
一応主人公は大気中の魔素を取り込む事で、飢えをしのげる設定です。
それは、どんな飢餓状態でも、魔素がある限り、飢え死には出来ない事を意味してます。
餓鬼道では標準装備となっております。
そんな訳で主人公は、大気中の魔素を感じ取れるんですが、ちと唐突すぎる気もします。
(´・ω・)
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