岩の魔神

 一方その頃__『岩の魔神』こと、マルティオスはとある洞窟にいた。

 「ククク、ここで勇者どもを待ってやろう」

 マルティオスが洞窟に入ろうとする。すると、二体のゴブリンがマルティオスを止める。

 「何だよ岩野郎。何の用だ!」

 「あん?」

 そのゴブリンは魔王の部下ではない、所謂『野良モンスター』であった。

 「ここは『バーサーカーゴブリン』こと、ダハヤシ様の洞窟だぞ!」

 「ダハヤシぃ?」

 「テメェ、そんなことも知らねえのか?ギャハハハハ」

 「てかコイツ、魔王軍の四天王の一角、ゴーレム・マルティオスじゃねぇか?」

 「マジかよ!コイツ殺ってダハヤシ様に誉めてもらうぞ!」

 すると、ゴブリン共はナイフを取り出す。

 「これで俺を殺るつもりか?」

 「あぁん?」

 マルティオスがナイフの刃を持つ。

 「俺は力を極めている。こんなナイフなんか」

 そして、マルティオスは刃を折った。

 「折れる」

 「なっ…」

 「嘘だろ…」

 「じゃあ、死のうか」

 マルティオスが片方のゴブリンの頭を掴む。そして、それを野球のボールのように振りかぶる。

 「なっ、止めろぉ!」

 「さて、世界の果てまで…」

 ゴブリンはマルティオスにより投げ飛ばされた。

 「行ってこぉぉぉぉい!」

 「ギャァァァァァ!」

 「なっ、テメェ!」

 もう片方のゴブリンが斬りかかる。

 「おらぁ!」

 だが、マルティオスにダメージを与えるどころか、ナイフの刃が欠ける結果となった。

 「嘘だろ…」

 「死にたくなければ俺の部下となれ」

 「ひっ、ひぃぃぃ!」

 ゴブリンが洞窟に入る。

 「じゃ、お邪魔しま~す」

 その後にマルティオスも洞窟に入る。

 「ククク、バーサーカーゴブリンってのはどいつだぁ?」

 すると、奥から2メートルもあるゴブリンがやってきた。

 「コイツが岩の野郎か」

 「誰だぁ?」

 「俺はバーサーカーゴブリンことダハヤシだ。貴様、何の用でここにいる?」

 「俺がここで勇者どもを待つためだ」

 「勇者どもを待つぅ?ガッハハハ!なんて面白い冗談だ」

 「いや、本当だ」

 「俺にそんな舐めた口利くなよ」

 すると、ダハヤシがパンチを繰り出す。

 「俺は数日前に格闘家の奴を殺したんだ!取り敢えず砕けとけェ!」

 そして、マルティオスの頬にダハヤシのパンチが決まる。

 「だはぁっ!」

 声をあげたのはまさかのダハヤシであった。

 「ぐっ、うっ、拳が、俺の拳がぁ!」

 「俺は岩の魔神。だから、お前の拳なんて砕くことが出来るんだぁ」

 「くっ、くそがぁぁ!」

 次にダハヤシはマルティオスの下半身にローキックを決める。

 「ぎゃぁぁぁ!」

 しかし、砕けたのはダハヤシの脛。

 「じゃあ、次は俺だ」

 悶えているダハヤシの腹に、マルティオスは全力のストレートを決めた。

 「がばぁっ!」

 その途端、ダハヤシは壁に叩きつけられた。

 「何だ!」

 「ダハヤシ様の声が聞こえたぞ!」

 駆けつけたのはダハヤシの部下のゴブリン達。

 「ちょっと待て、あの壁にいるの…ダハヤシ様ではないか」

 「そ、そんな!誰がこんなことを…」

 「お前らぁ!」

 マルティオスが叫ぶ。

 「今から俺がここの長だぁ!」

 「ひっ、ひぃぃぃ!」

 ゴブリン達は自分たちの長であるダハヤシが、この岩人間により殺されたのだと、肌で感じた。

 「ガハハハハ!勇者が来たら、絶対に潰すぅ!」

 四天王の一角、『岩の魔神』ゴーレム・マルティオスは、ゴブリン達に恐怖を見せることとなった。

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