戦いの試練
着いたのは、城の庭らしき所。そこは柵で囲まれていた。
「ここに入ってくれ」
俺は王の言われたままにそこに入る。続いて、甲冑を着た巨漢がそこに入る。
「アンタは?」
「私は騎士団長のオグラ!今から正々堂々と君と戦う!」
(オグラねぇ…確か、俺が暗殺業で最初に殺ったのも、
「それでは、始め!」
「はあっ!」
王の合図と共に、オグラが突っ込んでくる。
「ふっ」
丸腰とはいえ甲冑を着ている。俺は守りの構えをとる。
「おりゃっ!」
奴が出してきたのは正拳突き。
「ぐっ…」
俺はなんとかそれを防ぐ。
「ならばこれはどうだ!」
次に出したのは俺から見て左斜めのチョップ。
「させるか」
俺はそれを左手で受け止める。
「何っ!」
甲冑は体を守れても、喉ががら空きだ。俺は二本指を構え、オグラの喉にそれを突っ込む。
「こひゅっ!」
奴はすぐに倒れた。俺がやったのは貫手。気絶させるにはこれが一番いい。
「ほほう…泥臭い戦い方をしよる」
「これでいいですか、王?」
「あぁ、騎士団長レベルの男を倒すとは、結構な腕だ。では、旅のための物をそなたに与えるとしよう」
すると、王は長剣を渡した。
「これは?」
「これは勇者一族に代々伝わる剣、ステアソードだ」
「ステアソードねぇ…」
確かに転生前では刀の類いを使っていた。しかし、俺はその剣を王に返す。
「いや、俺はそれを使わん」
「使わない?」
「あぁ。それより短剣の類いはないのか?」
「えぇと、兵士が使う短剣ならあるが」
「じゃあ、それを」
「ええっ!?」
王は驚きながらも短剣を俺を渡した。
「本当に大丈夫なのか?」
「あぁ。俺は今までこれと似たようなやつで戦ってきた…あっ」
俺はうっかり口を滑らしてしまった。しかし、王は笑う。
「ハッハッハ。そういえば、君の父は勇者の血を引き、君の母は暗殺者一族の血を引くと聞いたな。だからオグラの喉を狙えたのか」
(ほっ、良かった)
俺はそんな事を思いつつ、王に誓った。
「分かりました。では、この俺が魔王を討伐します!」
「では、頑張ってくれたまえ!『モーガン』!」
そうか、俺はモーガンという名前で転生したのか。コードネームもモーガン。運命的な何かを感じる。
俺はそう思い、城を後にした。
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