モーガンは仲間を手に入れた!

 「ちょっと良いか?」

 「何だ?」

 俺は急に肩を後ろから叩かれたので後ろを振り向く。そこには、黒のローブを着て、杖を持った男がいた。

 「誰だお前?」

 「我が名はトロイト!魔法使いである!」

 「魔法使い?そういえば王も魔法がなんちゃら言ってたな」

 「あぁ。どうやら君は魔王討伐の為に旅に出ると聞いている!だから、このトロイトも仲間に入れてくれ!」

 (トロイトねぇ…)

 俺はトロイトという名に苦い思い出があった。

 転生前の若き時代に俺はトロイトという男とコンビを組んでいた。

 しかし、奴は金に目がくれ、俺を裏切り、死の淵に立たせた。とはいえ、何とか生き返ってトロイトを殺したがな。

 「そうか。仲間になりたいのか」

 「あぁ!よろしく頼む!」

 仕方ない。断ると後々面倒臭い事になるかも知れないし、とりあえずトロイトを信用することにした。

 「じゃあ、俺を裏切らない事を条件に仲間になってくれ」

 「あぁ。勇者の子、モーガン!一緒に魔王と倒そう!」

 そして、俺達は町を出た。

 それから数分後、草原に出た。

 「はぁ…モンスターが出そうな雰囲気だな」

 そう独り言を呟くと、ある男達が俺達の前をふさがった。

 「何だよ」

 「テメェ、ありったけのモンを出しな!」

 「そういや、見覚えがあるな…あっ、お前らは!」

 「なっ、テメェは!」

 こいつらは俺から金をせびろうとしたチンピラコンビだ。

 「何だ?知り合いなのか?」

 「いや、知り合いもなにも、敵だよ」

 「ケケケ、さっきは次あったら容赦しねぇって言ったよなぁ!有言実行させてもらうぜ!」

 すると、チンピラ二人は姿を変えた。

 舎弟の方はナイフを持った緑肌で耳が尖ったモンスターに、チェフ似の男は岩を体にしたモンスターに化けた。

 「コイツら、ゴブリンとロックデビルだったのか!?」

 「ゴブリン?ロックデビル?……そうか、魔法があるならモンスターだっているか」

 俺は自分を無理矢理納得させ、短剣を取り出す。

 「さぁ、殺してやるよぉ!」

 ゴブリンがナイフを突き出す。

 「おいおい、さっきと同じ動きじゃねぇか。経験値貰えてないのか?」

 俺はさっきと同じように、ゴブリンの腕を締める。

 「おらよぉっ!」

 そして、頭突きをしようとした。だが、ゴブリンが叫ぶ。

 「硬化!」

 俺の額が奴の顔面に当たる。しかし、ダメージを貰ったのは俺だった。

 「ぎっ、何をした!」

 「ケケケ、コイツは硬化だ。体の一部を固くさせることが可能で、防御力を最大にできる!」

 「ちっ、汚ェ真似を」

 「次は俺だぁ!」

 ロックデビルがジャブを繰り出す。

 「おっと!」

 何とか横に避けるも、頬が裂ける。

 「くっ…」

 「そしてぇ…くたばれぇ!」

 なんと奴は口から小石を吹き出してきた。

 「ぐっ、ぎぃ…(何だこれ、マシンガンみてぇだ)」

 大量の小石が体に当たり、守るのが精一杯だ。

 「バリア魔法!」

 トロイトがそう叫ぶと、急に小石が止んだ。

 「何だ?」

 「今のはバリア魔法です。今のうちにこれを」

 トロイトが差し出したのは小瓶。

 「中身を飲んで。後は任せて下さい!」

 「おう、すまねぇな」

 俺はソイツの中身を飲む。すると、さっきまであった切り傷が塞がった。

 「な、すげェ、傷が治った!」

 「くらぇぇ!ファイアアタック!」

 トロイトが杖を奴らに向ける。すると、そこから炎が火炎放射器の如く噴出された。

 「ぎゃぁぁ!」

 「あちぃぃぃ!」

 奴らがあわてふためく。

 「トドメだ、アイスアタック!」

 「ちぃぃ!逃げるが勝ちぃぃぃ!」

 その瞬間、杖の先から荒冷が出るも、奴らは既にいなくなっていた。

 「ちっ、テレポート魔法でも使ったのか」

 「じゃあ、あいつらは逃げたって訳か」

 「ですが、敵はいなくなりました。旅を続けましょう!」

 「そうだな、俺も頑張るよ」

 そして、俺達は歩き始めた。

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